2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21380047
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
間藤 徹 Kyoto University, 農学研究科, 教授 (50157393)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
落合 久美子 京都大学, 農学研究科, 助教 (40533302)
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Keywords | ホウ素 / 不良土壌環境 / ホウ素過剰 / マーカー育種 |
Research Abstract |
本研究は、イネの高濃度のホウ素に対する耐性を支配する遺伝子を同定し、この遺伝子を利用して感受性品種のホウ素過剰耐性を強化することを目的とする。ホウ素は土壌中に普遍的に存在する元素だが、乾燥気候下ではしばしば高濃度に存在するため、作物がホウ素過剰による障害をうける。イネはホウ素過剰に対して感受性であり、とくにインディカ種はジャポニカ種に比べて障害をうけやすい。ジャポニカ種にホウ素過剰耐性を与える遺伝子を利用して、インディカ品種のホウ素過剰耐性を強化する。これまでに、ジャポニカ種の熱研1号とインディカ種のIR36のRIL83系統を利用したホウ素過剰耐性のQTL解析からホウ素過剰耐性に関与する遺伝子の座乗部位を4番染色体上の約100kbの領域に絞り込んだ。 平成21年度は、40品種のイネを用いて、この領域のDNA配列の比較を行い、感受性品種に共通する多型部位から、ホウ素過剰耐性を与える遺伝子としてBET1を同定した。この遺伝子は、NACドメインをもつ転写因子をコードしており、ホウ素過剰に感受性のインディカ品種が機能型の配列をもつ一方、耐性のジャポニカ品種では機能欠損していると推定された。つまり、ホウ素過剰耐性は、この遺伝子の機能が損なわれることによって発現すると推察した。今後さらにこの仮説の検証を行う。 並行して、マーカー育種手法によるIR36,IR64のホウ素過剰耐性の強化をすすめている。IR36,IR64は東南アジアで人気があり、広く栽培される品種であるがホウ素過剰に感受性が高い。これらの品種に耐性品種コシヒカリの遺伝子を導入する。平成21年度はこれまでに得られていた交配種子のジェノタイピングと選抜を行い、さらに1回の戻し交配を行って世代をすすめた。
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