2011 Fiscal Year Annual Research Report
農家・指導員が自信を持って施肥設計できる土壌リン,カリウムの診断法
Project/Area Number |
21380048
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
和田 信一郎 九州大学, 大学院・農学研究院, 教授 (60108678)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
久保寺 秀夫 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 九州沖縄農業研究センター, 主任研究員 (30355648)
森 裕樹 九州大学, 大学院・農学研究院, 助教 (90404061)
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Keywords | 土壌診断 / カリウム / リン / 陽イオン交換反応 / 表面錯形成反応 |
Research Abstract |
カリウムに関する研究 昨年度まで供試した土壌の粘土鉱物分析を行い,水抽出液組成から交換性カリウムイオン量を推定するための経験式は粘土鉱物組成の類似した土壌には適用可能であることを確認できた.また,粘土鉱物組成の異なる土壌におけるカリウムの溶脱試験の結果も,粘士鉱物組成と交換性陽イオン組成に占めるカリウムの割合が重要な要因であることを示した.これらの結果をうけ,土壌のカリウム選択特性を評価するための実験法を改良した.本年度は,粘土鉱物組成の異なる土壌を用い,ホウレンソウの栽培試験も行ったが,土壌によっては,交換性カリウムがカリウムの可給性の指標としては不十分であるという結果が得られた.このことは,水抽出カリウム量および,それと土壌の特性に基づいて推定した交換性カリウムイオン量が士壌のカリウムの可給性評価として有用である,というこの研究の前提が必ずしも正しくなかったことを示している可能性がある. リンに関する研究 可給態リンを水溶性リンから半理論的に推定することは放棄した.実験的評価のために,リンの選択的吸着剤としてアカガネアイトを組み込んだアカガネアイトディスクの作成法を確立した.そのディスクのリン吸着速度や容量,士壌に埋設した場合のリン捕集に対する土壌水分含量の影響などの基本的な特性を明らかにした.また,大分県内の,リン酸含量の異なる施設土壌に埋設し,作物(ネギ)のヲン酸吸収とアカガネアイトディスクによるリン捕集量との関係を調べた.従来法による土壌の可給態リン酸含量が一定以上の場合,ネギによるリン酸吸収量の差はなかったが,アカガネアイトディスクによるリン酸イオン捕集量も同じ傾向を示し,従来法よりも土壌(特にリン酸が集積した施設土壌)の可給態リン評価法としては優れていると考えられた.
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