2010 Fiscal Year Annual Research Report
腸内乳酸菌の消化管内生き残り戦略:胆汁酸適応に関わる細胞表層機能の解析
Project/Area Number |
21380053
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
横田 篤 北海道大学, 大学院・農学研究院, 教授 (50220554)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吹谷 智 北海道大学, 大学院・農学研究院, 助教 (10370157)
森田 直樹 独立行政法人産業技術総合研究所, 生物プロセス研究部門, 研究グループ長 (60371085)
横田 伸一 札幌医科大学, 医学部, 准教授 (10325863)
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Keywords | 胆汁酸 / コール酸 / 乳酸菌 / Lactobacillus gasseri / リン脂質 / 糖脂質 / カルジオリピン / テイコ酸 |
Research Abstract |
Lactobacillus gasseri JCM1131^Tの細胞を非致死濃度のコール酸に暴露する(適応処理)と,致死濃度のコール酸に耐性となる「コール酸適応現象」の機構解明のため,本年度は以下の検討を行った. I.適応処理が細胞脂質組成に与える影響(北大:横田/吹谷+産総研:森田):昨年度の検討で,本菌の菌体総脂質は糖脂質が75%を占め,リン脂質は15%しか含まれないことが示された.本年度はコール酸の攻撃標的となる細胞膜を分画して脂質組成を調べたが,やはりリン脂質は20%程度しか含まれず,高い糖脂質含量となった.そこで本菌の主要リン脂質であるホスファチジルグリセロールと,精製した糖脂質を混じてベシクルを調製し,コール酸崩壊に与える影響を見たところ,糖脂質添加によりベシクル強度が増大した.従って糖脂質は胆汁酸耐性に一定の寄与があると判断できた. II.適応処理がテイコ酸の構造と含有量に与える影響の解析(北大:横田/吹谷+札幌医大:横田伸一):コール酸適応前後の菌体からリポテイコ酸の分離精製に成功した.構造解析の途上であるが,適応前後での構造上の差は見出されていない.細胞壁テイコ酸については分離できなかった. III.適応処理が遺伝子発現に与える影響(北大:横田/吹谷):昨年度の解析でコール酸適応に伴いリン脂質カルジオリピン(CL)含量の増大が見られたため,リアルタイムPCRにより本菌のゲノム上に二つある推定カルジオリピン合成酵素遺伝子(CLS)の発現変動を調べたが,適応前後で有意差は見られなかった. IV.適応に関わる遺伝子の同定(北大:横田/吹谷):CLS遺伝子の単独及び二重ノックアウト株を作出したが,いずれの株もコール酸適応を示した.これらの変異株の脂質解析を行い,適応におけるCLの生理的意義について,また推定CLS遺伝子の機能について解析中である.
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Research Products
(5 results)