2011 Fiscal Year Annual Research Report
腸内乳酸菌の消化管内生き残り戦略:胆汁酸適応に関わる細胞表層機能の解析
Project/Area Number |
21380053
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
横田 篤 北海道大学, 大学院・農学研究院, 教授 (50220554)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吹谷 智 北海道大学, 大学院・農学研究院, 助教 (10370157)
森田 直樹 (独)産業技術総合研究所, 生物プロセス研究部門, 研究グループ長 (60371085)
横田 伸一 札幌医科大学, 医学部, 准教授 (10325863)
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Keywords | 胆汁酸 / コール酸 / 乳酸菌 / Lactobacillus gasseri / リン脂質 / 糖脂質 / カルジオリピン / テイコ酸 |
Research Abstract |
Lactobacillus gasseri JCM1131^Tの細胞を非致死濃度のコール酸に暴露する(適応処理)と致死濃度のコール酸に耐性となる「コール酸適応現象」の機構解明のため、以下の検討を行った。 II.適応処理がテイコ酸の構造と含有量に与える影響の解析(北大:横田/吹谷+札幌医大:横田+産総研:森田):適応前後の菌体から取得したリポテイコ酸(LTA)の構造を決定した。NMR解析により本菌のLTAはグリセロールリン酸と2-アラニルグリセロールリン酸の2種類のモノマーユニットをもつこと、GC解析によりLTAのアンカー糖脂質の脂肪酸組成はオレイン酸を主体とすることが明らかになった。これらには適応前後で構造や組成上の差は見出されなかった。LTAの量と鎖長について新たに開発したイムノブロット法により解析した。量については適応前後で差を認めなかった。鎖長については、適応後に鎖長の長いLTAの減少と鎖長の短いLTAの増加が検出された。この変化はLTAの分布をより密にし、コール酸の電気的な排斥力の強化をもたらす可能性があると考えられた。 IV.適応に関わる遺伝子の同定(北大:横田/吹谷):これまでにリン脂質カルジオリピン(CL)が適応に寄与することを示したが、CLを合成するCL合成酵素(CLS)と予想される遺伝子はゲノム上に2つ存在する。昨年この単独及び二重ノックアウト株を作出したが,いずれの株もコール酸適応を示した。本年度はこれらの株の脂質解析を行った。リン脂質に占めるCL含有率はいずれのCLS欠失によっても野生株に比べて低下し、二重欠失株では殆ど検出されなくなった。このことから両clsはカルジオリピン合成酵素遺伝子であると結論した。二重欠失株と異なり、2つの単独欠失株では適応後にCL含有率の有意な上昇が見られ、適応におけるCLの重要性が窺われた。一方、二重欠失株では野生株に比べて全脂質に占める糖脂質含有率の減少とリン脂質含有率の上昇が見られ、この傾向は適応後により強くなった。したがって、CLは細胞膜脂質組成の決定に強く関わることが明らかになった。
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Research Products
(9 results)