2009 Fiscal Year Annual Research Report
複合微生物系における細菌間シグナルによる呼吸代謝調節の解析と応用
Project/Area Number |
21380056
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
野村 暢彦 筑波大学, 大学院・生命環境科学研究科, 准教授 (60292520)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
内山 裕夫 筑波大学, 大学院・生命環境科学研究科, 教授 (00185042)
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Keywords | 細菌 / 呼吸 / 細菌シグナル / エネルギー代謝 / 微生物複合系 |
Research Abstract |
細菌間シグナルAHL,PQSにより呼吸制御される種々の細菌の同定と解析:AHL,PQSが種々異種細菌の生育に与える影響を解析することで、AHL,PQSそれぞれにより生育に応答する微生物(以後センシング菌株と呼ぶ)を探索する。AHL,PQSを培地に添加し(100μM以下)、種々細菌の生育を好気・嫌気条件下それぞれで測定した結果、PQSが他のグラム陰性細菌やさらにはグラム陽性細菌の生育を負に制御することを明らかにした。また、それらについて酸素代謝についても詳細に調べた結果、酸素呼吸代謝を制御していることが明らかとなった。 以上のことは、シグナルが他の細菌の呼吸を制御することを示しており、それらの菌らの複合系制御において新しい知見をもたらすとともに、複合系微生物のシグナルによる制御の可能性を示唆しており応用への道筋をつけた。 呼吸の制御に関与する他のシグナルの探索:種々の環境サンプル(活性汚泥等)より様々な微生物を単離後、シグナルの生産について調べた。まず、窒素代謝能の有無を調べ、その活性を有する菌株約30株を候補株とした。そして、ラクトホモセリン骨格のシグナルについて検討を行った結果、約半数の細菌がそれらの基本骨格を有するシグナルを細胞外に分泌していることが示唆された。 以上の結果は、水処理における活性汚泥中の窒素除去に関与する微生物もシグナルを介して制御されていることを示唆しており非常に興味深い。
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