2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21380058
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
依田 幸司 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (20143406)
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Keywords | 酵母 / 小胞体 / ゴルジ体 / 多糖 / 細胞壁 / グルカン / 局在 / 生合成 |
Research Abstract |
真菌細胞にとって必須な細胞壁多糖β-1,6-グルカンの生合成機構を明らかにするため、我々が発見した必須遺伝子産物Keg1と結合し、かつアミノ酸配列にグルカナーゼと相同性がある、Kre6を調べた。昨年度、ウサギ抗Kre6血清で、活性を保持するHAタグ標識タンパク質と同様に、細胞壁合成が盛んな芽が強く染まる蛍光染色像を示した。このように見えるKre6が、細胞質膜にあるか、他の膜構造体にあるか明らかにするため、さらに条件を様々に変え、庶糖密度勾配遠心で分画したところ、大部分のKre6は、小胞体画分に検出されるが、一部は輸送小胞と細胞質膜にも存在すると考えられた。更に異なる方法で確認するため、免疫電子顕微鏡で観察した。ウサギ血清は非特異シグナルのため使えなかったが、抗HA抗体によると、大部分は小胞体だが一部は細胞質膜に存在するという局在が支持された。この局在とKre6の機能との関連を調べるため、グルカナーゼ相同領域はそのままにして、N末端の細胞質側の一部の配列を欠損させることで、小胞体にはあるが芽の細胞質膜に運ばれない変異体を調べたところ、β-1,6-グルカン合成に障害が認められたことから、Kre6の局在場所はその活性に必須であることが分かった。Kre6と結合する必須遺伝子産物Keg1の温度感受性株では、準許容温度においてKre6の安定性が低下することと、芽の細胞質膜に集まる蛍光染色像が見られなくなることを発見した。即ち、小胞体膜に存在するKeg1はKre6の正常な構造や局在の獲得に寄与する介助分子である可能性が考えられた。他のKre6と相互作用するタンパク質の関与を含めて、Kre6の構造形成と局在化の関連を明らかにする解析が重要なことが分かった。
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