2009 Fiscal Year Annual Research Report
グルタチオン代謝とポリアミン代謝の古い関係を新しく科学する~基盤から応用へ
Project/Area Number |
21380059
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Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
鈴木 秀之 Kyoto Institute of Technology, 工芸科学研究科, 教授 (10202136)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福山 恵一 大阪大学, 理学研究科, 教授 (80032283)
平竹 潤 京都大学, 化学研究所, 教授 (80199075)
井沢 真吾 京都工芸繊維大学, 工芸科学研究科, 准教授 (10273517)
和田 啓 大阪大学, 理学研究科, 助教 (80379304)
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Keywords | グルタチオン / ポリアミン / 大腸菌 / 結晶構造 / 代謝経路 |
Research Abstract |
大腸菌のγ-グルタミルトランスペプチダーゼ(GGT)とは異なり、枯草菌のGGTはホ乳類のGGTと同様、基質であるグルタチオンのCys-Gly部分を認識していると考えられ、結晶構造解析を行った。アミノ酸配列からの予想されたように、枯草菌のGGTには他のGGTに見られる活性中心に結合した基質のγ-グルタミル基部分を覆うように存在するlid-loopが見られなかった。また、アミノ酸残基から計算した静電ポテンシャルによれば、高塩濃度下においても酵素表面の電荷分布は負に保たれることを示し、これが水和状態を保ち、耐塩性に結びついていると考えられた。 大腸菌のグルタチオン代謝に関する知見を組み合わせて菌株を育種することにより、グルタチオンを大腸菌の菌体外に蓄積させる全く新しいグルタチオンの直接発酵法を開発した。 Puu代謝系遺伝子の発現を抑えている転写調節因子であるPuuRタンパク質のDNA上の結合領域をゲルシフトアッセイにより特定した。ただ、ゲルシフトにPuu代謝系の基質であるプトレッシンや生成物であるコハク酸は影響しないことが分かった。 アシラーゼ活性の触媒残基をAlaに置き換え、合成活性だけを持つようにしたグルタチオニルスペルミジン合成酵素を用いてグルタチオニルスペルミジンを合成し、機器分析により同定した。菌体内外のグルタチオニルスペルミジン量の分析の際の標準品が準備できた。 Proteus mirabilisにおいては菌体外に排出されたプトレッシンがスオーミングを引き起こすシグナル因子として機能しているという報告があった。大腸菌においては、プトレッシンを全く生合成できなくなった株でもLBSw寒天培地上でスオーミングが起きることが分かった。これは、培地中にわずかに含まれているスペルミジンをPotABCDが取り込むことによって引き起こされることを明らかにした。
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