2009 Fiscal Year Annual Research Report
環状ペプチドクォルモンの生合成酵素および受容体を標的とした抗感染症剤の開発
Project/Area Number |
21380061
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
中山 二郎 Kyushu University, 大学院・農学研究院, 准教授 (40217930)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
永田 宏次 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 准教授 (30280788)
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Keywords | 腸球菌 / クォーラムセンシング / ペプチドアンタゴニスト / クォルモン / ゼラチナーゼ / 抗感染症剤 / リバースアラニンスキャン / ポスト抗生物質 |
Research Abstract |
クォーラムセンシング(QS)は細菌界で多々見られる菌密度依存的制御機構で、近年の細菌学において大変注目されている現象である。それは、同種菌細胞間で化学シグナル"クォルモン"を分泌しあいながらコンセンサスをとり、特定の遺伝子発現をタイミングを合わせてオンにし、集団行動を開始するというものである。QS阻害剤は、このような細菌のコミュニケーションネットワークをブロックし、猛威を振るう細菌を沈静化させる作用が期待され、ポスト抗生物質として注目されている。グラム陽性細菌の腸球菌、ブドウ球菌、リステリア菌などは環状ペプチドをクォルモンとし、病原性をコントロールしている。本申請研究では、(1)環状ペプチドクォルモンの生合成酵素、(2)環状ペプチドクォルモンの受容体、を標的としたQS阻害剤を、天然物のスクリーニングおよびペプチドデザイン合成の2つのアプローチを組み合わせた戦略で分子創製し、腸球菌、ブドウ球菌、リステリア菌、ウエルシュ菌などのグラム陽性病原細菌の病原性発現を効率的に抑制する新しいタイプの抗感染症剤を創出することを目標としている。本年度の成果は、(1)腸球菌の環状ペプチドクォルモンGBAPの前駆体ペプチドFsrDのC末端にGFPを融合した組換え体を作製し、GBAPの生合成過程をリアルタイムでモニタリングできる実験系を構築した、(2)リバースアラニンスキャン法という独自のペプチドアンタゴニストの分子デザイン法を編み出し、その方法によりGBAPアンタゴニストのリード化合物を得ることに成功した。(1)のFsrD-GFP融合系によるGBAP生合成リアルタイムモニタリングシステムは、GBAPの生合成の分子機構を詳細に解析するための研究ツールとなるばかりでなく、GBAP生合成阻害剤のスクリーニング系にも利用できと期待される。(2)で作出したGBAPアンタゴニストリード化合物は、さらに部分改変することでより強力なアンタゴニストペプチドを誘導できるものと期待される。
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Research Products
(6 results)