2011 Fiscal Year Annual Research Report
環状ペプチドクォルモンの生合成酵素および受容体を標的とした抗感染症剤の開発
Project/Area Number |
21380061
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
中山 二郎 九州大学, 大学院・農学研究院, 准教授 (40217930)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
永田 宏次 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 准教授 (30280788)
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Keywords | クオラムセンシング / 腸球菌 / ブドウ球菌 / アンタゴニスト / ペプチド合成 / 放線菌二次代謝産物 / 眼内炎 |
Research Abstract |
多くのグラム陽性病原細菌は、環状ペプチドを自己誘導因子(クォルモン)とするクオラムセンシング(QS)により、病原因子の発現を巧みにコントロールして宿主の感染を効率よく成立させている。本研究ではQS阻害剤を、天然物のスクリーニングおよびペプチドデザイン合成の2つのアプローチを組み合わせた戦略で分子創製し、グラム陽性病原細菌の病原性発現を効率的に抑制する新しいタイプの抗感染症剤を創出することを目的としている。平成21年度および22年度の研究において、独自のリバースアラニンスキャン法という独自のペプチドアンタゴニストの分子デザイン法により、100nMで腸球菌のクオラムセンシングを遮断するZBzl-YAA5911を得ることに成功している。またブドウ球菌のagrクオラムセンシング系をモニターするアッセイ系と腸球菌のPsrクオラムセンシング系をモニターするアッセイ系を併用したハイスループットスクリーニング系により、約1000の放線菌およびカビの祖抽出物をスクリーニングし、計3株の祖抽出物が有効的に両菌のクオラムセンシングを阻害することを見出している。平成23年度は、この2つの成果を基に、ZBzl-YAA5911にはさらなる誘導体化そして、ウサギ眼内炎モデルによる感染予防効果の実証試験、そしてカビ・放線菌の粗抽出物中のQS阻害物質の同定を試みた。ZBzl-YAAのさらなる誘導体化の結果、ZBzl-YAA5911の5残基目のチロシンがアンタゴニスト活性に重要で、その側鎖の疎水性がアンタゴニスト活性に重要であることが判明した。しかし、ZBzl-YAA5911の活性を上回る誘導体は得られなかった。ZBzl-YAA5911のウサギ眼内炎モデル実験では、腸球菌の硝子体から水晶体への移行をZBzl-YAA5911が有意に阻害することを実証し、本QS阻害剤のin vivoにおける有効性を実証した。カビ・放線菌抽出物中のQS阻害物質については、そのうち放線菌Y67株の活性画分Y67-1とY67-2に既知化合物の分子式に一致する物質が存在することが確認された。
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Research Products
(6 results)