2011 Fiscal Year Annual Research Report
Lambertella属によるマイコパラサイト現象の生物有機化学的機構解明
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21380069
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
橋本 勝 弘前大学, 農学生命科学部, 教授 (40212138)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高田 晃 弘前大学, 農学生命科学部, 准教授 (10332701)
園木 和典 弘前大学, 農学生命科学部, 准教授 (20502264)
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Keywords | マイコパラサイト / lambertellol / lambertellin / 活性本体 / 機構解明 / lambertella sp.1346 |
Research Abstract |
Lambertella corni-marisおよびLambertella sp.1346はリンゴ果実上でMonilinia fructigenaに対してマイコパラサイトする。21年度までに、本現象はパラサイトが生産するlambertella/lambertellinがカギ物質であることを明らかにし、lambertellolの拡散性を有する活性前駆体としての機能を明らかにしてきた。報告者らの仮設では分解して生じたlambertellinが活性本体である。実際、lambertellinの添加は、生産菌Monilinia属の菌糸成長を強く阻害した。培養条件ではlambertellinは痕跡しか検出されないが生産者自身による解毒分解の存在も明らかにした。したがって、lambertellinは生産と分解の動的平衡にあるため痕跡量のみの検出となっていると考えられるが、23年度は実際に動的平衡が存在するのか検討した。特定の二次代謝産物の生分解(おそらく酸化分解)する酵素が不明の状態でその機構をバイオテクノロジーを用いた解析は困難である。そこで分解産物の特定を検討した。 Lambertella sp.1346培養液に加えたlambertellin量は速やかに減少した。て特定のシグナルの増大を期待してHPLC,GCを用いて二次代謝物スペクトルを追跡したところ、lambertellol Cのシグナルが顕著に増大した。しかし、lambertellin→lambertellol Cの生体内変換は構造的に考えにくい。これは、生体内でチトクローム系の酸化酵素が活性化された結果デノボのlambertellol A,Bが酸化されて生じたと考えている。しかしこの結果は、lambertellinの添加が酸化酵素を活性化したこと、すなわち報告者らの仮設を裏付けるものであると考えている。さらに微量のlambertellin分解物の検索を行った。^<13>Cラベルlambertellinを投与して分解産物のGCMSおよびLCMSを解析したところ、いくつかのシグナルにおいて投与基質の質量分布パターンを反映していることが判明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
リンゴ果実上でMonilinia fructignaに対してマイコパラサイト現象の機構について、その全容解明に確実に近付いていると実感している。ただし、lambertellin分解物質の探索は培養液に含まれる通常代謝物との比較が困難で膨大な時間を要してしまったことも事実である。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度は、これまでの知見をもとにlambertellin分解物の候補成分を単離し、その同定を行う。ただし、これら分解物も短寿命物質で痕跡量子化検出することができない。それらを分析に供するに十分量確保するためには工夫が必要である。
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Research Products
(18 results)