2011 Fiscal Year Annual Research Report
分子内に複数の架橋構造を有する難合成ペプチド関連物質の大量合成法の確立
Project/Area Number |
21380072
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
千葉 一裕 東京農工大学, 大学院・農学研究院, 教授 (20227325)
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Keywords | ペプチド / 化学合成 / 立体構造 / 生体分子 / 生物活性 |
Research Abstract |
ペプチドホルモン等の生理活性物質は、分子内に複数のジスルフィド架橋結合を有するものも多く、これらの正確な結合形成が分子の立体構造ならびに活性発現に必須となっている。また、最近では立体構造や動的作用を制御した非天然型ペプチド分子を得ることが、蛋白質やペプチドホルモンの機能解明に直接的に繋がると共に、ペプチド医薬品開発においても必須となり、大きな注目を集めている。しかしこれまでに機能が明らかになっている多くのタンパク質の活性フラグメント部分(ペプチド)について、本来の立体構造を再現した形でつくることは極めて難しく、たとえ高い有効性が期待されるペプチドフラグメントでも、それらの物質の殆どは多段階に及ぶ合成技術上の問題に直面し、活性測定に必要な物質を得ることすら困難なものが多い。特に多数の分子内ジスルフィド架橋形成による立体制御は技術的に困難である。 本研究では、このような合成困難なジスルフィド架橋ペプチドについて高純度、高収率、迅速に合成できる、新しい原理に基づく液相多段階連続合成法に関する研究を推進した。この方法は、逆ミセルを形成する疎水性タグにアミノ酸を結合させ、順次伸長させるものであり、基本的には一容器内で数十段階の液相合成反応を連続的に実施することができる。 平成23年度は、分子内にジスルフィド結合を有する1~2組有するSomatostatin, α-Conotoxin MIIなど、各々数十段階以上のステップを必要とする化合物について、各々純度95%以上、反応毎収率99%以上で達成し、本法の優位性を実証した。これらはいずれも100ミリグラム以上のスケールでの最終物の合成を達成しており、最終的な脱保護段階まで、クロマトグラフィー操作を必要としない、優れた合成方法として確立することができた。
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Research Products
(25 results)