2010 Fiscal Year Annual Research Report
食品由来成分によるシスチン・グルタミン酸トランスポーターの発現制御と生理機能
Project/Area Number |
21380074
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
佐藤 英世 山形大学, 農学部, 教授 (60235380)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
五十嵐 喜治 山形大学, 農学部, 教授 (00111336)
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Keywords | シスチン / フラボノイド / グルタチオン / レドックス / トランスポーター / グルタミン酸 |
Research Abstract |
哺乳類アミノ酸トランスポーターの一つで生体抗酸化系として機能していると考えられるシスチン・グルタミン酸トランスポーター(xCT)の食品由来成分による発現制御と生理機能について検討を行った。平成22年度は、以下のような点を明らかにした。1)マウス膵臓ランゲルハンス島B細胞由来のβTC3細胞やマウス腹腔マクロファージにネギ科植物(ニンニク、長ネギ、アサツキ、タマネギ)の水抽出液を添加したところ、タマネギ以外の植物由来抽出液で細胞内グルタチオンレベルが有意に増加した。アサツキの抽出液は、xCTの発現を誘導することによって細胞内グルタチオンレベルを増加させるのに対し、ニンニク及び長ネギ抽出液は、細胞外のシスチンをシステインに還元し、構成的に発現している中性アミノ酸輸送系を介して直接グルタチオン前駆アミノ酸であるシステインが供給されることにより、グルタチオンが上昇することが明らかとなった。2)不飽和脂肪酸であるエイコサペンタエン酸やアラキドン酸に弱いxCT誘導活性が認められた。これらの脂肪酸が酸化されるとxCTの誘導は強くなり、細胞内グルタチオンレベルも上昇した。3)肺胞上皮組織では、パラコート投与による酸化ストレス負荷によってxCTが強く誘導されることが明らかとなった。肺胞マクロファージも同様に酸化ストレス負荷によりin vivoでxCTが誘導されることが示された。4)脳におけるxCTの生理機能をxCT KOマウスを用いて解析したところ、海馬等のグルタミン酸濃度が野生型マウスに比べて有意に低下することが示された。このことから、xCTは、脳において細胞外グルタミン酸の濃度制御に寄与することが初めて示唆された。
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Research Products
(4 results)