2010 Fiscal Year Annual Research Report
Melaleuca cajuputiの湛水耐性機構の解明
Project/Area Number |
21380091
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小島 克己 東京大学, アジア生物資源環境研究センター, 教授 (80211895)
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Keywords | Melaleuca cajuputi / 低酸素 / エネルギー代謝 / 木質化 / 通気組織 / メタボローム / ミトコンドリア / スーパーコンプレックス |
Research Abstract |
通気組織の形成と木質化の状態の違う4種類の苗の水耕栽培系を用いて、苗の根の糖量、糖リン酸量及び、スクロース分解に関する酵素と解糖系上流の酵素の活性を測定し、また地上部から根への光合成産物の転流量を^<13>CO_2を用いて測定した。苗の木質化、未木質化によらず、スクロース分解に関する酵素と解糖系上流の酵素に、低酸素処理による目立った賦活化が見られなかったが、解糖系中流域の3-ホスホグリセリン酸(3PGA)の濃度が顕著に増加していた。木質化苗のみに、低酸素処理によるグルコース-6リン酸の増加がみられた。木質化した低空隙苗では、膜結合型のスクロースシンターゼの活性が低酸素処理により低下した。苗の木質化、未木質化によらず、高空隙苗は低空隙苗より低酸素処理による代謝物質濃度や酵素活性への影響が少ない傾向にあった。3PGAの増加は膜脂質合成の抑制もしくは膜脂質の分解によるものと考えられ、それによってATP生産に重要な解糖系下流で使用される炭素が確保されている可能性がある。また、^<13>CO_2曝露実験から、木質化苗の根で低酸素処理によって光合成産物の構造性画分への分配比が減少し、その減少は未木化苗でもみられたが、木化苗でより顕著だった。低酸素環境下で、リグニンやセルロースなどの構造性物質への炭素の分配を少なくすることでより多くの炭素をエネルギー代謝へ供給していることが示唆された。 ミトコンドリアのスーパーコンプレックスを活性染色し、コンプレックス組成を確定した。組成は低酸素処理をした苗と対照苗とに差異が認められず、低酸素処理をするとミトコンドリアタンパク質量当たりのスーパーコンプレックス量が減少する傾向にあった。単離したミトコンドリアの膜間電位の蛍光試薬を用いた測定を試みたが、細胞小器官の不溶化により測定不能だった。
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Research Products
(1 results)