2011 Fiscal Year Annual Research Report
Melaleuca cajuputiの湛水耐性機構の解明
Project/Area Number |
21380091
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小島 克己 東京大学, アジア生物資源環境研究センター, 教授 (80211895)
|
Keywords | Melaleuca cajuputi / 低酸素 / エネルギー代謝 / 木質化 / 通気組織 / メタボローム / ミトコンドリア / スーパーコンプレックス |
Research Abstract |
通気組織の形成と木質化の状態の違う4種類の苗の根のアデニル酸量、有機酸量、アセチルCoA量および、ペントースリン酸回路の酵素と解糖系下流の酵素の活性を測定した。空隙率の大小、木質化の有無によらず、いずれの苗においても低酸素区でアデニル酸エネルギー充足率が0.8付近に保たれていた。木質化の度合いによらず、高空隙苗では低酸素処理によってグルコース-6リン酸脱水素酵素活性とシキミ酸の濃度が低下した。未木質化苗では低酸素処理によるホスホエノールピルビン酸カルボキシラーゼの活性の低下とアセチルCoAや有機酸の濃度の減少がみられたが、木質化苗ではそれらがみられなかった。 ミトコンドリアの膜間電位測定の代替としてATP生成速度の測定法を確立した。木質化した低酸素処理苗から抽出したミトコンドリアに4種類の呼吸基質と、9種類の電子受容体を与えて、無酸素下でのATP生成速度を測定したが、ATPの生成は見られなかった。 これまでの結果から、木質化苗について、低空隙苗は、セルロース合成の抑制と膜脂質合成抑制によって、高空隙苗は、リグニンなどの芳香族化合物合成の抑制と膜脂質合成抑制によって低酸素環境下での解糖系中下流域のエネルギー代謝を高めていることが示唆された。未木質化苗について、低空隙苗は、若干のセルロース合成の抑制と膜脂質合成抑制によって、高空隙苗は、膜脂質合成抑制によって低酸素環境下で解糖系中流域への炭素供給を高め、3-ホスホグリセリン酸からホスホエノールピルビン酸までの部分で解糖系外に炭素が供給されて基質レベルのATP生産が行われている可能性がある。ミトコンドリアについては、低空隙時にATP生産への寄与は少ないが、通気組織の発達と共にATP生産が活性化すると考えられる。
|