2009 Fiscal Year Annual Research Report
乾燥地緑化への応用を目指した耐乾・耐塩性植物の浸透調整能の解明とその向上
Project/Area Number |
21380097
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
山中 典和 Tottori University, 乾燥地研究センター, 教授 (20202385)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松尾 奈緒子 三重大学, 生物資源学研究科, 講師 (00423012)
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Keywords | 乾燥地緑化 / 乾燥耐性 / 耐塩性 / 浸透調整 |
Research Abstract |
本年度は2つの課題について4つの調査・実験を行い、以下の成果を得た。 課題1:中国内陸部に生育する耐乾・耐塩性樹木の生理特性解明と浸透調整能に関わる適合溶質の同定 中国の新彊ウイグル自治区と黄土高原に生育する植物を対象として、適合溶質のベタイン類蓄積の有無を検討した。結果として、植物種により、ベタイン類蓄積が全く見られないものや、ベタイン類を蓄積するグループでも、植物種により、蓄積するベタインの違いがみられた。植物の種により耐乾、耐塩に関わる浸透調整物質が異なることが明らかとなった。また、中国黄土高原に生育する樹種を用いて、葉中ベタイン類の季節的変化を解析した。結果として、葉中に含まれるベタイン類には明瞭な時系列変化が認められ、特に乾燥が続く時期にはベタイン類蓄積が多くなり、雨が多い時期にはベタイン類が少なくなる傾向がみられ、ベタイン類が乾燥耐性に寄与していることが明らかとなった。 課題2:適合溶質の誘導による苗木の耐乾・耐塩性向上と植裁モデル実験 耐塩性樹種の苗木を異なる塩濃度で育成させ、苗木の生存や生理特性及び、葉中の適合溶質を分析した実験を行ったグミ科のElaeagunus oxycarpaやギョリュウ科のタマリスク類では、高塩分環境下でプロリンの量が増大し、耐塩性に関わる浸透調性物質として、プロリンが重要であることが明らかになった。また、中国黄土高原産の樹木苗木にアブシジン酸投与実験を行ったところ、気孔閉鎖に伴う蒸散量の低下が観察されたが、適合溶質の増加には顕著な傾向は見られなかった。適合溶質の誘導による耐乾・耐塩性向上のためには、種に特異的な適合溶質を明らかにし、それを用いたさらなる実験が必要であることが示唆された。
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Research Products
(3 results)