2010 Fiscal Year Annual Research Report
乾燥地緑化への応用を目指した耐乾・耐塩性植物の浸透調整能の解明とその向上
Project/Area Number |
21380097
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
山中 典和 鳥取大学, 乾燥地研究センター, 教授 (20202385)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松尾 奈緒子 三重大学, 生物資源学研究科, 講師 (00423012)
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Keywords | 乾燥地緑化 / 乾燥耐性 / 耐塩性 / 浸透調節 |
Research Abstract |
課題1:中国内陸部に生育する耐乾・耐塩性樹木の生理特性解明と浸透調整能に関わる適合溶質の同定 新彊ウイグル自治区およびウズベキスタンの極乾燥地で現地調査および試料の収集を行い、植物に含まれる適合溶質のスクリーニングを行った。顕著な結果として、新彊ウイグル自治区、ウズベキスタンともに、塩類集積地に生育するアカザ科の塩生植物(Halostachys caspica, Kalidium foliatum, Kalidium cuspidatum, Haloxylon persicum等)で高濃度のグリシンベタイン蓄積が認められた。またこれらの種ではグリシンベタイン以外のベタイン類蓄積は多くなく、グリシンベタインに依存した浸透調整を行っているものと推定された。同じく塩類集積地に生育するタマリスク科の植物ではグリシンベタインは検出されずアラニンベタンやガンマブチロベタインが少量検出され、同じ環境に生育する植物でも蓄積するベタイン類が系統により異なることが明らかとなった。 課題2:適合溶質の誘導による苗木の耐乾・耐塩性向上と植裁モデル実験 本年度は乾燥地に生育するヤナギ(Salix psammophila, Salix matsudana)の苗木を用いた塩ストレス実験を行い、塩ストレス環境下で、Salix matsudanaの葉内にグリシンベタインが誘導されることが明らかになった。しかし、Salix psammophilaでは、グリシンベタインの誘導は認められず、同属の種間でも反応に違いが認められた。今後、他樹種での実験例を蓄積してゆく必要があるものと考えられた。
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