2011 Fiscal Year Annual Research Report
乾燥地緑化への応用を目指した耐乾・耐塩性植物の浸透調整能の解明とその向上
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21380097
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
山中 典和 鳥取大学, 乾燥地研究センター, 教授 (20202385)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松尾 奈緒子 三重大学, 生物資源学研究科, 講師 (00423012)
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Keywords | 乾燥地緑化 / 乾燥耐 / 耐塩性 / 浸透調節 |
Research Abstract |
課題1:中国内陸部に生育する耐乾・耐塩性樹木の生理特性解明と浸透調整能に関わる適合溶質の同定耐塩性樹木の生理特性解明の目的で、中国新彊ウイグル自治区アイディン湖周辺に生育する塩生植物5種(Tamarix hispida, Halocnemum strobilaceum, Kalidium foliatum, Karelinia caspica, および Phragmites australis)の器官別陽イオン濃度とそれらの体内分布を解析した。その結果、陽イオンの蓄積パターンは種により大きく異なった。葉に塩腺を有するTamarix hispidaは高い葉内Na^+濃度を示した。多肉性のH. strobilaceumおよびK. foliatumも高い葉内Na^+濃度を示した。これらの結果は根から吸収されたNa^+の多くが葉へ輸送されたことを示している。一方、Kalinia caspica and P. anstralisは極めて高い根のイオン選択性を示した。P. australisでは全ての器官で高濃度のK^+を蓄積し、その結果、他種より低いNa^+/K^+比が示された。 課題2:適合溶質の誘導による苗木の耐乾・耐塩性向上と植裁モデル実験 様々な濃度のNaCl溶液(0, 50, 100, 200 300mM)を処理した、中国新彊ウイグル原産のグミ科樹木であるElaeagnus angustifolia L.当年生苗木において適合溶質の分析を行った。その結果、200mMや300mM NaCl処理において、sucrose, β-alanine betaine, prolineそしてglycine等の重要な適合溶質濃度が上昇していることが明らかとなり、塩ストレスにより適合溶質が誘導され、苗木の耐塩性が向上しているものと考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(1)国内陸部に生育する耐乾・耐塩性樹木の生理特性解明と浸透調整能に関わる適合溶質の同定に関しては、中国内陸部やウズベキスタンに生育する植物、さらには沖縄のマングローブ等について、多くの樹種で適合溶質の同定を行うことができ、種による生理特性の違いや耐乾・耐塩性に関わる適合溶質の違いを明らかにできた。また(2)適合溶質の誘導による苗木の耐乾・耐塩性向上と植裁モデル実験に関しても、ガラス室内での実験によりストレス前歴による適合溶質の誘導が認められ、おおむね順調に進展していると考える。ただ現地植栽実験に関しては、中国新彊ウイグル自治区の治安状況が良好でないため中国現地での植栽を断念し、日本国内でマングローブを用いた現地植栽実験に切り替えて進めている。この点についても現在おおむね順調に進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
緑化の実戦のための苗木育成と現地植栽に関しては、中国新彊ウイグル自治区の治安状況が良好でなかったため、他の地域で代替地を探していたが、適当な場所が見つからず、中国の内陸乾燥地での現地植栽実験を断念した。対応策として、中国で予定していたものと同様の実験を、沖縄に生育する耐塩性樹木であるマングローブ類を用いて行うこととした。ストレス前歴を与えて生育させ、耐塩性を向上させたマングローブ樹種の苗木を海岸部に植栽するモデル実験を行い、ストレス前歴が植栽直後の苗木の生存、成長に及ぼす影響について調査を行う。
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Research Products
(8 results)
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[Presentation] Evaluation of salt tolerance of desert plants using carbon isotoperatio2012
Author(s)
Hara, N., Matsuo, N., Imai, K., Imada, S., Maimaiti, A., Yamanaka, N.
Organizer
EAFES5(59回生態学会大会と合同開催)
Place of Presentation
龍谷大学(大津市)
Year and Date
2012-03-18
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