2010 Fiscal Year Annual Research Report
人工細胞壁を用いたヘミセルロースの機能解明と機能性材料の創出
Project/Area Number |
21380104
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
浦木 康光 北海道大学, 大学院・農学研究院, 教授 (90193961)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
玉井 裕 北海道大学, 大学院・農学研究院, 准教授 (50281796)
幸田 圭一 北海道大学, 大学院・農学研究院, 助教 (80322840)
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Keywords | 人工細胞壁 / ヘミセルロース / ハニカムパターン化セルロース / 細胞接着 / 力学特性 |
Research Abstract |
本年度は、針葉樹にも存在するが広葉樹の主要ヘミセルロースであるキシラン、カラマツのみに存在するアラビノガラクタンをハニカムパターン化セルロースに吸着させて人工細胞壁を作成し、その人工細胞壁の力学的特性の変化から、樹木中におけるヘミセルロースの機能を推測することを第一の目的とした。また、本課題では、アラビノガラクタン吸着人工細胞壁を、肝細胞培養基質として利用することを当初の目標としており、本年度は、アラビノースを強固に吸着させる方法の探索を第二の目的とした。 昨年度の検討より、アラビノガラクタンはキシランより弱い吸着しか示さないことが明示されたが、いずれのヘミセルロースも吸着によりハニカムパターン化セルロースの引張強度、引張弾性率とも上昇させた。この試験結果を細胞壁の変形モデルに適用すると、bending-stretchingモデルが最も好適であり、ヘミセルロース吸着により、その決定係数が向上した。この結果は、提案されてきた3種のモデルの中で、前述のモデルがハニカム形状の樹木細胞壁の応力下での変形を適確に表現していることを検証した。また、昨年度の肝細胞培養基質を創出する検討では、細胞一個一個がハニカムの孔に埋まる現象が観測され、細胞アレイの創成が示唆されたが、孔壁が低い、更に、アラビノガラクタンの吸着が不安定などの問題が明らかとなり、その改善策を検討した。孔壁の問題は、イオンビームでエッチングした鋳型を用いてハニカムフィルムを調製することで解決できた。一方、アラビノガラクタンの吸着は、マイクロウェーブ処理で向上し、フィルムの弾性率も向上した。現在、電子線照射によるヘミセルロースの吸着率向上を検討している。
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Research Products
(4 results)