2011 Fiscal Year Annual Research Report
人工細胞壁を用いたヘミセルロースの機能解明と機能性材料の創出
Project/Area Number |
21380104
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
浦木 康光 北海道大学, 大学院・農学研究院, 教授 (90193961)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
玉井 裕 北海道大学, 大学院・農学研究院, 准教授 (50281796)
幸田 圭一 北海道大学, 大学院・農学研究院, 講師 (80322840)
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Keywords | 人工細胞壁 / ヘミセルロース / ハニカムパターン化セルロース / 肝実質細胞 / 力学特性 |
Research Abstract |
本年度は、荷重下における木材の変形機構を、人工細胞壁を用いて解明することを第一の目的として、先ず、3Dレーザー顕微鏡と我々が開発した微小サンプル用引張試験装置との組み合わせにより、顕微鏡下でヤング率を測定できる分析機器を作製した。この機器を用いて、ハニカムパターン化セルロースフィルムに2種のヘミセルロースを吸着させた人工細胞壁に対して、ヤング率とPoisson比を同時に測定した。この結果、Poisson比は、ハニカムの孔径に関係なく0.93から0.98の値を示し、木材小口面で報告されている値とほぼ等しくなった。このことは、人工細胞壁が木材を分析するための好適なモデルであると共に、木材小口面には異方性が少ないことを示唆している。また、本測定より、人工細胞壁中のセルロースのヤング率が、112GPaという高い値であることも示された。 第2の目的は、ヘミセルロースが堆積したハニカムパターン化セルロース中で、モノリグノールの重合を行い、より木材の細胞壁を模倣した人工細胞壁の創製であった。モノリグノールの合成は完了したが、リグニンの分析が可能な量の重合は達成できなかった。 第三の目的は、カラマツ特有のヘミセルロースであるアラビノガラクタン(AG)を吸着させた人工細胞壁を、肝実質細胞の培養基質として利用できるかの評価であった。AGの吸着を強固にするため、電子線照射を行ったが若干の向上しか観測されなかった。この弱い吸着のため、細胞培養中に吸着したAGが溶け出し、細胞の接着阻害を引き起こすことが分り、共有結合で確実にAGをフィルムに固定化する必要性が明らかとなった。また、セルロースの結晶構造と肝細胞の接着との関係も調べた。その結果、セルロースII型のフィルムは、スフェロイドを形成し、培養基質として有用であるが、セルロースI型ハニカムフィルムは、肝細胞が変形して吸着するので、基質として不適であることが分った。
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Research Products
(3 results)