2010 Fiscal Year Annual Research Report
外来ドジョウの起源とその在来種への影響に関する研究
Project/Area Number |
21380114
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
荒井 克俊 北海道大学, 大学院・水産科学研究院, 教授 (00137902)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村上 賢 麻布大学, 獣医学部, 教授 (80271360)
矢部 衛 北海道大学, 大学院・水産科学研究院, 教授 (80174572)
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Keywords | 倍数体 / クローン / ミトコンドリアDNA / 反復配列 / ミニサテライト / マイクロサテライト / FISH / 減数分裂 |
Research Abstract |
外来ドジョウの実態とその在来種の影響を解明する為、ドジョウ類を分子レベルで特徴付けるために有効な2種類のDNA配列((1)Man-DRAと(2)MASA33.6d)を単離し、これらの存在様態について詳細な解析を行ったところ、(1)はゲノム中の0.1%を占める縦列反復配列であるが、(2)は数分子しか存在しないと推定された。特異的PCRで調べると(1)は全てのドジョウMisgurnus anguillicaudatusで見られ、欧州ドジョウM.fosshilis等で検出できなかった。一方、(2)は特定のミトコンドリアDNAを示す標本では検出できなかった。 ドジョウと外来カラドジョウM.mizolepisの交雑の影響を調査する為、人工雑種F1の3-4歳魚雌より得た卵をUV照射精子で人為雌性発生、およびドジョウ精子による戻し交配を実施し、生じた胚についてフローサイトメトリーと染色体解析を行ったところ、雑種雌は受精能力をもつ半数体、二倍体、三倍体、四倍体および異数体(1.7-2.6n)卵を産むことが判明した。一方、雑種雄の精液には4n、精巣には2nと4nの細胞集団が見られ、精子に相当する1n細胞はほとんどの場合、ごく少量あるいは認められなかった。カラドジョウの染色体数は2n=48で、12M+4SM+32Tの核型が見られ、大型のM型染色体が特徴であり、雑種ではその1本が認められた。しかし、ドジョウにも2n=50のほか、染色体多型(2n=48,49)を示す個体の存在が示唆され、決定的な鑑別基準とならなかった。 中国産倍数体ドジョウについて交配実験を行ったところ、四倍体は二倍性の配偶子を産生するが、三倍体は雌では半数性の卵を多く作るが、雄では異数性の精子(1.5n)を産生することが判明した。
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