2011 Fiscal Year Annual Research Report
採餌行動計測・画像情報によるキタゾウアザラシの中深層回遊行動の研究
Project/Area Number |
21380128
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Research Institution | National Institute of Polar Research |
Principal Investigator |
内藤 靖彦 国立極地研究所, 名誉教授 (80017087)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 晃周 国立極地研究所, 研究教育系, 准教授 (40413918)
渡辺 佑基 国立極地研究所, 研究教育系, 助教 (60531043)
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Keywords | 海洋生態系 / 動物行動学 / バイオロギング / 採餌計測 / ゾウアザラシ |
Research Abstract |
平成23年度は以下の研究実験と成果の一部のとりまとめを行った。 初年度に装着し、回収された5台の長期採餌計の解析を行った。長期採餌記録計は計画通り、このアザラシの中深層での採餌を時系列記録した。全個体が400-700mの層で数万回におよぶ採餌活動を行っていることが明らかになった。採餌記録計の加速度波形から、1)このアザラシは小型の餌をサクションにより採餌していること、2)採餌回数、代謝量およびハダカイワシなどのカロリー量を用いての推定からこのアザラシは10-20gの餌を採っていること、3)採餌水深の明瞭な昼夜変動から、本種が中深層でハダカイワシ類のような小型の餌を大量に採っていることなどが判明した。このことは、記録量は少ないが、画像ロガーに記録されたハダカイワシの写真からも具体的に裏付けられた。1980年代から謎とされていたゾウアザラシの繰り返し連続深海潜水は、DSL層での小型の餌を採餌するためであることを明かにすることができた。また、中深層動物の海洋生態系において果たす役割の重要性を初めて定量的に示すことができた。今回海洋動物の採餌を長期にわたり計測できた意味は極めて大きく海洋生態系の直接計測による定量解析に道を開くものと考える。当初目的としていた採餌記録、画像記録からゾウアザラシの中深層回遊行動の解明の内、中深層潜水と採餌の関係を明らかにすることができたが、回遊と採餌の関係は解明されていない。今後得られたストローク記録や衛星トラッキング記録なども用いて解析を行い、中深層海洋構造と回遊の関係、ホットスポット解析、従来の一般採餌モデルの検証を行う。
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Research Products
(4 results)