2009 Fiscal Year Annual Research Report
湿地帯におけるメイオベントスの生態学的機能に関する分子生化学的研究
Project/Area Number |
21380131
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
豊原 治彦 京都大学, 農学研究科, 准教授 (90183079)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
笠井 亮秀 京都大学, 農学研究科, 准教授 (80263127)
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Keywords | 湿地帯 / 干潟 / セルラーゼ / セルロース / 河川(底泥 |
Research Abstract |
寒冷地湿地帯のセルロース分解機構を明らかにする目的で、潟湖・海跡湖としてはクッチャロ湖、サロマ湖、能取湖、厚岸湖、風連湖の5潟湖および声問大沼、網走湖、ウトナイ湖、藻散布沼、パシクル沼、長節湖の6海跡湖で採泥を行い、泥炭湿地としては野付湾、メグマ沼の2地点で採泥を行った。河口域としては天塩川河口域、石狩川河口域、鵡川河口域、沙流川河口域の4河川で採泥を行った。底泥を採取しセルロース分解活性を測定した結果、北海道17湿地帯のセルロース分解能を定量的に測定した結果、泥炭湿地のメグマ沼が最も高いセルロース分解能(737.88nmol/gh)を示した。次いで、泥炭湿地の野付湾(92.39nmol/gh)、淡水性海跡湖のウトナイ湖(44.45nmonl/gh)、潟湖のサロマ湖(28.48nmol/gh)、潟湖の厚岸湖(21.42nmol/gh)、潟湖の能取湖(13.86nmol/gh)の順に高い分解能を示した。河口域の4地点は極めて低いセルロース分解能を示した。特に鵡川、沙流川については全くセルロース分解能を示さない結果となった。(0nmol/gh)活性の定性分析の結果から、メグマ沼(泥炭湿地)、野付湾(泥炭湿地)及びウトナイ湖(海跡湖)の底泥の分解はおもに菌類が、また長節湖(海跡湖)ではメイオベントスが担っていることが示された。以上の結果から、寒冷地湿地帯のセルロース分解活性レベルは湿地帯タイプにより異なり、活性を担う生物は多様であることが示唆された。また,活性が高い泥炭地は有機物量(植物残渣量)が多く、活性が低い河口域では植物残渣量が少ないことから、基質となるセルロースが多いことが高い活性レベルを発現するために重要な要因であることが示唆された。
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Research Products
(3 results)