2010 Fiscal Year Annual Research Report
地震と豪雨災害リスクを考慮した農業水利のアセットマネジメントの手法
Project/Area Number |
21380144
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
小林 晃 関西大学, 環境都市工学部, 教授 (80261460)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木山 正一 京都大学, 農学研究科, 助教 (20293920)
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Keywords | 農業水利構造物 / 診断技術 / リスクマネジメント / アセットマネジメン / 地震 / 豪雨 / 災害抑止工法 / 予測手法 |
Research Abstract |
1.地震時および越流時の挙動予測手法の開発 昨年度、小型模型を用いてダム堤体の振動特性の変化を画像処理技術を用いて観察する方法を検討したが、本年度は供試体に動水圧がかかる状態での試験の開発を行った。水槽を用いて振動実験を行う場合、相似率を考慮しなければ震動の影響が水槽の大きさに現れ、貯水面の挙動が過剰になる。一方、相似率を考慮して時間軸を短縮すると動水圧の影響を再現できない。本研究では相似率は満足しないが、動水圧の影響を堤体に与える実験装置の開発を行った。その装置開発に時間がかかったために、今年度の予算の一部が繰り越された。その後装置は完成し、数回の実験を行った。堤体法面に圧力計を設置して、堤体にかかる動水圧と堤体内の挙動の観察により地震時の堤体挙動を解明する。 2.斜面安定化工法、越流破壊防止工法の抑止力の定量的評価手法の開発 安定化工法および破壊防止工法を定量的な評価を行うためには、堤体内部の弾性係数分布を正確に把握することがまず重要である。昨年度開発した弾性波速度分布の簡易な推定法の精度を確認するために、弾性波探査、電磁波探査、電気探査結果を自己組織化マップ(SOM)を用いてクラスタリングして推定した内部状態と比較した。推定された内部空隙の状態は弾性波速度の分布と良い相関示し、堤体挙動の定量的な予測の精度向上が期待できる。 3.ライフサイクルコストの検討手法の開発 新潟県中越地震において被災したため池のデータを用いて、個々のため池の損傷度曲線(最大加速度~損傷発生確率関係)を求めることに成功した。これに最大加速度発生確率を用いて年間損傷確率を求めた。年間損傷確率を実際のため池被災データから導いたのは本邦で初めてのことである。このデータを用いることにより、想定地震の損傷ロスを考慮したライフサイクルコストの算定が可能となる。
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Research Products
(13 results)