2010 Fiscal Year Annual Research Report
分布型水循環モデルを用いた灌漑用水と排水に対する温暖化影響評価と将来対策
Project/Area Number |
21380150
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
増本 隆夫 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 農村総合研究部・地球温暖化対策研究チーム, 研究チーム長 (80165729)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堀川 直紀 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 農地・水資源部・水文水資源研究室, 主任研究員 (70442796)
吉田 武郎 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 農地・水資源部・水文水資源研究室, 研究員 (80414449)
皆川 裕樹 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 農村総合研究部・地球温暖化対策研究チーム, 研究員 (70527019)
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Keywords | 両極端現象 / 分布型水循環モデル / 低平地排水 / 温暖化実験 / 用水配分・管理モデル / 温暖化影響評価 / バイアス補正 / 対応策 |
Research Abstract |
研究対象の(A)豪雪地帯を背後に有し、広い灌漑地区を流域内に持つ関川流域ならびに、(B)低平域の排水管理が不可欠な加賀三湖地区について、関連データ(気象・水文観測、灌漑・排水計画、土地利用、施設情報(貯水池、頭首工、堰)、用水系統、対象期間内の施設管理情報等)の収集とデータベース化を行った。さらに、流域を0.01°メッシュ(約1km四方)に分割し分布型水循環モデルのプラットフォームを完成させた。次に、これまで開発してきた農地水利用を考慮できる農地水循環モデルの改良を行い、a)積雪融雪モデル、b)貯水池操作モデル、c)灌漑用水配分モデルのそれぞれを開発し、統合モデルに実装させた。同時に、低平地の排水モデルとして低平地タンクモデルを構築・実装した。さらに、気候モデル(MIROC)による温暖化実験結果(現在、近未来、21世紀末)の抽出を行い、各種気候要素の日分布と20年間の年日最大値の分布を観測値に一致させる補正の方式を提案し、その方法を用いてバイアス補正を行った。一方、低平地排水に関しては、温暖化実験の結果から各年に発生する最大規模の雨を抽出して、雨量と波形の分析を行い、豪雨とその内部波形を模擬発生させる方法を開発した。最後に、改良された分布型水循環モデルに上記のバイアス補正を施した温暖化実験の結果を入力して、近未来、21世紀末の農業水利用の変化やそれへの温暖化の影響度を評価した。その結果将来は、融雪時期の早期化と融雪量の減少による農業用水への影響、両極端現象(洪水と渇水)の増大、代かき時期における農業用水の不足などの影響があることが分かった。同時に、将来は年最大日流量の増大と確率洪水量の再起確率年の減少などが発生することも明らかになった。このように、開発したモデルを用いることで農業水利用への具体的な影響やその程度が具体的な数値として提示が可能になることを明らかにした。
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