2010 Fiscal Year Annual Research Report
乳酸菌およびビフィズス菌の日和見感染機構の解明と安全性向上
Project/Area Number |
21380162
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
戸羽 隆宏 弘前大学, 農学生命科学部, 教授 (10108483)
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Keywords | 乳酸桿菌 / 上皮細胞 / 侵入性 |
Research Abstract |
昨年度の研究で選抜された高侵入性菌株Lactobacillus crispatus JCM 5810を用いて、Caco-2細胞monolayerへの侵入経路および機構について検討した。 tight junctionを崩壊させるEGTAによるCaco-2細胞monolayerの前処理が付着・侵入に与える影響を調べたところ、付着は無処理の場合と変わらなかったが、侵入率は約2.5倍に増加した。トランスウエルを用いて基底面からの侵入性を調べたところ、基底側からの侵入率は頂端側からのそれの100分の1程度であった。以上のことから、(1)Lb.crispatus JCM 5810のCaco-2細胞monolayerへの侵入は頂端側が主要経路である、(2)他の微生物等によるtight junctionの破壊があった場合には側面からも高率で侵入する、(3)基底面からの侵入は殆ど見られないことが示された。 真核細胞のタンパク合成阻害剤であるシクロヘキシミドでCaco-2細胞を前処理し、付着・侵入に与える影響を調べたところ、いずれにも影響しなかった。一方、細菌のタンパク合成阻害剤であるクロラムフェニコールの存在下では、菌の付着性は無処理の場合と変わらなかったが、侵入性は約70%減少した。微小管脱重合剤であるコルヒチンとノコダゾールで前処理したCaco-2細胞への付着・侵入性は無処理の場合と変わらなかった。一方、マイクロフィラメント重合阻害剤であるサイトカラシンDによる前処理がCaco-2細胞への付着・侵入性に与える影響を調べたところ、付着性は変化無かったが、侵入性は約30%減少した。以上の結果から、Lb.crispatus JCM 5810の頂端側からのCaco-2細胞monolayerへの侵入には、菌体側で新たなタンパク合成が必要であり、細胞側では微小管は関与せず、マイクロフィラメントが関与していることが示された。 市販されている10種の発酵乳から分離した乳酸桿菌10株について、Caco-2細胞monolayerへの付着・侵入性を調べたところ、付着率が高い菌株はあったが、侵入性を示した菌株は無かった。
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Research Products
(1 results)