2009 Fiscal Year Annual Research Report
暑熱ストレス下における環境適応型「肉用鶏」の創出:適応プロセスの改善プラン
Project/Area Number |
21380165
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
豊水 正昭 東北大学, 大学院・農学研究科, 教授 (80180199)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古瀬 充宏 九州大学, 大学院・農学研究院, 教授 (30209176)
高橋 和昭 東北大学, 大学院・農学研究科, 准教授 (80183440)
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Keywords | 暑熱ストレス / 地球温暖化対策 / ミトコンドリア / 抗酸化飼料 / ニワトリ / 活性酸素 |
Research Abstract |
先端バイオ技術による生産力の飛躍的な向上に加え、「生産現場における負の変動」を統合的に極小化できれば、将来の動物生産にブレークスルーがもたらされることは疑う余地もない。本研究では、慢性暑熱ストレスにともなう生産性の低下を改善するため、暑熱時のROS過剰産生を支配するスイッチ群(特にUCPとミトコンドリアDNA)の機能発現特性を体温と飼料摂取の制御と連関させて解明し、系全体を調節して環境適応の最適化をはかるため、基礎研究と応用研究を行う。(1)慢性暑熱ストレス曝露時におけるROS過剰産生を制御するスイッチ群と体温の解析のため暑熱曝露後0,1d,3d,5d,9d,14dに血液や筋肉サンプルを採取し、ミトコンドリアのROS産生を実測すると共に、ROS消去能の含めたROS過剰産生制御スイッチ群の機能発現を遺伝子、活性の各レベルで調査した。その結果、暑熱曝露にともなう肉用鶏のROS産生の経日的変化より、曝露後5-9日にROSが過剰に産生され、この産生にはミトコンドリア膜電位上昇が関与しており、この上昇にはミトコンドリアにおける基質酸化速度の上昇ならびにANT発現低下によるプロトンリークの低下が関与することを実証した。またROS産生は14日目には暑熱区と対照区の間に差は認められず、過酸化状態が続けば代謝活性がフィードバック制御されていることが3HADH活性の低下から推察され、慢性暑熱時の過酸化の程度は予想に反して低いことをも示された。(2)さらに、筋細胞におけるROS過剰産生の抗酸化・抗炎症物質による最適制御法の検索のため、1日齢ブロイラーオスの浅胸筋より予定筋芽細胞を抽出し、筋芽細胞の濃縮を行った後、コンフルエントになるまで4日間培養し、筋管を形成させ、培養温度を上げ筋細胞ROS過剰産生を誘導して細胞レベルにおける暑熱モデルが作成でき、通常の培養条件(37℃)と比較し、高温培養区では細胞内ROS産生量が増加することが示された。
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Research Products
(3 results)