2010 Fiscal Year Annual Research Report
アセトバクター属細菌を用いたサイレージの新しい品質マネジメント
Project/Area Number |
21380166
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
西野 直樹 岡山大学, 大学院・自然科学研究科, 准教授 (50237715)
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Keywords | 畜産 / 飼料 / サイレージ / 酢酸菌 / 微生物 |
Research Abstract |
1.小規模サイロを用いたA.pasteurianusの添加実験-牧草種による添加効果の差異- A.pasteurianusをイタリアンライグラス、ギニアグラスおよびトウモロコシホールクロップに添加して、実験室規模のサイレージを調製した。生菌数、発酵生成物および開封後の好気的安定性を調べてA.pasteurianusの効果を明らかにするとともに、PCR-DGGEを行ってA.pasteurianusの生残性および他細菌との共生関係について検討した。 A.pasteurianusはイタリアンライグラスサイレージの発酵に影響せず、開封後の変敗を防止することもなかった。ギニアグラスサイレージでは乳酸および酢酸含量が減少したが、A.pasteurianusの添加に関わらず好気的変敗は起こらなかった。一方、トウモロコシサイレージでは開封後の温度上昇が2日間遅延し、他のサイレージと異なりDGGEでA.pasteurianusのDNAも確認できた。イネ科牧草サイレージに比べ、トウモロコシサイレージではA.pasteurianusの添加効果が期待できると判断されたが、変敗抑制を説明する有機酸含量等の変化はなかった。 2.開封後にA.pasteurianusを添加したトウモロコシサイレージの好気的安定性 A.pasteurianusを含む酢酸菌は偏性好気性菌であり、サイレージ調製における位置づけはこれまで好気的変敗の原因菌であった。我々の研究成果はそれらの知見を修正するものだが、開封時の生菌数が多ければ活発に増殖して変敗を促進するかもしれない。それらを確認するため、イタリアンライグラスサイレージおよびトウモロコシホールクロップサイレージの開封時にA.pasteurianusを添加して、好気的安定性とA.pasteurianusの生残性を調べた。 A.pasteurianusの添加に関わらず、イタリアンライグラスサイレージは開封後変敗したが、トウモロコシサイレージは変敗しなかった。開封時に添加したA.pasteurianusは好気的変敗試験7日後も生残したが、温度上昇が早まることはなかった。すなわち、従来の知見とは異なり、酢酸菌であるA.pasteurianusに変敗促進作用はないことが確認された。
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