2011 Fiscal Year Annual Research Report
副産物コラーゲンを利用した嗜好性と保健的機能性に優れた新規食品素材の開発
Project/Area Number |
21380167
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
有原 圭三 北里大学, 獣医学部, 教授 (00175994)
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Keywords | コラーゲン / ペプチド / メイラード反応 / 保健的機能性 / 嗜好性 / 抗酸化作用 / 畜産副産物 / 食品素材 |
Research Abstract |
畜産副産物中に多く含まれるコラーゲンは、構成アミノ酸の約30%がグリシンであるという大きな特徴を有するタンパク質である。グリシンは、グルコースなどの還元糖と共に加熱すると、容易にメイラード反応を起こす。メイラード反応生成物は、食品に好ましい風味を付与するだけでなく、抗酸化活性などにより保健的機能性を付与することも報告されている。本研究では、コラーゲンを含む畜産副産物を、メイラード反応により嗜好性と保健的機能性を備えた食品素材への変換を目指した。加熱処理により鶏皮等に含まれるコラーゲンをゼラチン化した後、パパインなどのプロテアーゼを作用させペプチド化素材を調製した。さらに、キシロース等の還元糖を加え加熱し、メイラード反応生成物を含む素材を得た。嗜好性に大きな影響を及ぼす低分子香気成分やメイラードペプチドの働きを、味覚センサーと官能試験により評価した。その結果、弱アルカリ条件で100℃付近の温度で加熱して調製した素材では、これらの成分が良好な嗜好性に寄与することが判明した。一方、このようにして調製したメイラード反応生成物は、強いスーパーオキサイドイオン消去能(抗酸化活性)を示したことから、マウスやラットを用いた経口投与試験を実施した。とくに顕著な血圧降下作用が認められたことから、その作用メカニズムについて検討した。ペプチドなど多くの食品由来成分の血圧降下作用はACE阻害活性に基づくものであるが、今回用いたメイラード生成物はACE阻害活性に加えて抗酸化活性が重要な役割を演じていることが判明した。メイラード反応生成物中の活性成分についても精製を進めたところ、単一成分として得るには至らなかったが多くの性質を解明することができた。
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Research Products
(7 results)