2009 Fiscal Year Annual Research Report
サルソリノールによる反芻家畜の新しいプロラクチン分泌機構と生理機構の解明
Project/Area Number |
21380169
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
橋爪 力 Iwate University, 農学部, 教授 (60124533)
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Keywords | サルソリノール / プロラクチン / ドーパミン / ウシ / ヤギ |
Research Abstract |
反芻家畜におけるプロラクチン(PRL)分泌機構へのサルソリノール(SAL)の関与を明らかにするために次ぎの3つの実験を行った。(実験1):PRL分泌は日長により変化するので、長日期(夏季)と短日期(秋季~冬季)でのSALの反応性を調べた。(実験2):性ステロイドによるSALの反応差が考えられるので、雌雄による差を調べた。(実験3):中枢を介したSALの作用を明らかにするために、ウシ視床下部内にSALを投与しPRL放出反応を調べた。 (実験1):雌シバヤギ5頭を供試し、7~8月(夏季)及び11~12月(秋季~冬季)に実験を行った。シバヤギの頚静脈内に5mg/kg b.w.のSALを投与し、頚静脈カテーテルより経時的に採血し血中のPRL濃度の変化を調べた。またDAのアンタゴニスト(スルピリド、0.1mg/kg b.w.)を投与し、PRL濃度の変化を調べた。その結果、夏季におけるSALとスルピリドによるPRL放出反応は秋季~冬季における反応に比べ有意に高いことが明らかになり、日長や気温がSALによる反応を修飾することが示唆された。 (実験2):性成熟前後の雌雄のウシ各5頭を供試して5~8月にかけ実験を行った。実験のプロトコールは、実施時期以外、実験1の方法と同様に行った。その結果、SALとスルピリドによるPRL放出反応は雄に比べ雌は有意に高いことが明らかになり、エストロジェンなどの性ステロイドがSALによる反応を修飾することが示唆された。 (実験3):連携研究者の農業生物資源研究所粕谷博士の協力を得て筑波で行った。10mg/頭のSALをそれぞれ200μlの生理食塩水に溶解して子ウシの視床下部第三脳室内に投与し、経時的に頚静脈より採血を行い血中のPRL濃度の変化を調べた。その結果、SALの第三脳室内投与はPRLを有意に放出させ、SALは視床下部に作用しPRLを放出させることが明らかになった。
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Research Products
(4 results)