2009 Fiscal Year Annual Research Report
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21380172
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
武内 ゆかり The University of Tokyo, 大学院・農学生命科学研究科, 准教授 (10240730)
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Keywords | 犬 / 気質 / 行動特性 / 気質関連遺伝子 / 神経伝達物質 / 遺伝子多型 / 一塩基置換 / 盲導犬・探知犬 |
Research Abstract |
本年度は,財団法人日本盲導犬協会の協力のもとで実験を行い,下記のような成果を得た。 まず,盲導犬適性に関わる気質を同定するために,訓練士によるラブラドールレトリーバー候補個体の気質評価を行った。気質に関する22項日からなるアンケート評価を訓練開始3ヶ月後に実施し,担当訓練士1名から5段階評価の回答を得た。回答率の高い19項目を用いた因子分析により,"注意散漫""感受性""従順さ"という内的整合性の高い3因子が安定して抽出された。因子ポイントと適性の関連を調べたところ,盲導犬合格群の方が"注意散漫"が有意に低く,"従順さ"が有意に高く,いずれも再現性が礁認された。また,"注意散漫"ポイントを基準とした適性予測では,予測的中率は80.3%に達することが示された。 続いて訓練開始1ヶ月目および2ヶ月目に行動実験を行うことで,アンケート評価よりも早い時期に気質を客観的に評価しうるかを検討した。犬舎における平常時心拍数や行動変化,興奮刺激提示(リードを持って犬舎に入る)時の心拍数や行動反応について解析したところ,平常時心拍数が盲導犬適性と一貫した関連を示し,"注意散漫"と弱い正の相関を示す傾向があった。また,伏せ時間および起立時間は盲導犬適性と有意に関連し,いずれも"注意散漫"および"従順さ"と弱い相関を示していた。一方,リード入室による10秒後のΔ心拍数は"従順さ"と中程度の負の相関を示していた。以上より,平常状態を反映する犬舎における心拍数や行動反応は盲導犬適性の客観的指標となり,興奮刺激に対するΔ心拍数は"従順さ"の指標となる可能性が示された。
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