Research Abstract |
本年度は,3つの研究計画を並行して実施し,以下のような成果を得た。 1)前科研費により一昨年入手したオーストラリア探知犬繁殖プロクラム第2群の血液および個体データを第1群に加えて解析し,探知犬においては,9および12ヶ月齢における執着心,9ヶ月齢における独占欲,12カ月齢における草むら探索意欲,4~12ヶ月齢におけるタオル棒執着心といった気質が合否と関連することが明らかとなった。また,執着心,自立探索,タオル棒執着心パラメーターとすることで,現行よりも高い合否予測率を示す予測式を作成できることが示唆された。遺伝子解析については第1群のみを終了し,その結果をもとに第2群の解析をスタートした。 2)財団法人日本盲導犬協会の協力のもとで,盲導犬早期適性予測を目指してパピーウォーカーに対するアンケートタ実施し,その結果を平成21年度に明らかとなった盲導犬適性と関わる"注意散漫"という気質スコアと比較した。その結果,アンケート項目における「訪問者に対する興奮」,「見知らぬ人に対する興奮」,「散歩中の犬に対する興奮」が弱い相関を示し,うち後二者は盲導犬の合否と関連することが明らかとなった。 3)一般のペットを対象として,興奮性や執着心といった気質と関連すると考えられる「常同障害(尾追い行動)をテーマに取り上げ,イベントと動物病院を通じてアンケート調査を行い,両群で共通するリスク要因の抽出を試みた。その結果,シバイヌであること,興奮しやすいこと,ペットシヨップで購入すること,が常同障害のリスク要因であることが示唆された。
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