2011 Fiscal Year Annual Research Report
単一幹細胞による臓器および個体の再生と家禽育種への活用
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21380173
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
鏡味 裕 信州大学, 農学部, 教授 (80308303)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小野 珠乙 信州大学, 農学部, 教授 (10177264)
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Keywords | 単一幹細胞 / 臓器再生 / 個体再生 / 育種 / SP細胞 / 家禽 |
Research Abstract |
哺乳動物(ヒト、マウス等)で、多様な組織・器官・個体に再生し得る胚性幹細胞(ES細胞)や万能細胞(iPS Cell)が樹立されている。これらは再生医療や生物生産への応用を目指し、様々な臓器・器官や個体の再生が試みられている。一方、鳥類においては幹細胞は樹立されておらず、また完全な臓器や個体の再生はなされていない。家禽においてこれらの幹細胞株を樹立し、その分化制御が可能となれば生産性向上や個体増殖や保全に多大な貢献がもたらされることが期待される。 本年度において、幹細胞を厳密に分取し、その分化を培養条件下で人為的に制御することを目的として研究を行った。家禽初期胚から胚盤葉明域中央部細胞を採取した。胚盤葉明域の周囲に付着する不要物を、PBSを用いた洗浄によって完全に除去した。また初生雛から得られた体性細胞をFACSによって分離した。こうして、胚性細胞由来の細胞サンプル、及び、体性細胞由来の細胞サンプルをそれぞれ得た。胚性細胞、体性細胞から少数の多能性幹細胞を厳密に分取した。これらの胚性幹細胞及び体性幹細胞を培養したところ、多能性細胞コロニーが確認された。またこの胚性幹細胞は多能性マーカーであるCVH及びSSEA-1の強い発現性が確認された。遺伝子発現の解析によって、これらの細胞において分化制御制御遺伝子が強く発現していることが明らかとなった。さらにこの細胞は、放射線照射によって退縮したレシピエント胚における血管の発生能、及び、再生能を保持することが確認された。さらに、単一のSP細胞を培養条件下で確実に増殖し得る実験系の開発を行った。 今後の研究の進展によって、遺伝的に高い能力を持ち、経済性の高い鶏卵や鶏肉を産出する家禽の効率的生産や希少鳥類の再生・増殖に新たな活路を拓き得るものと考察された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初予測したSP細胞の採取効率がより高くなったため。これは当初SP細胞の割合を哺乳類から推測していたが、鳥類においては生物種特異性が強く、SP細胞自体の存在割合が高いことが判明したことに起因する。
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Strategy for Future Research Activity |
家禽における幹細胞を厳密に単離する基礎的実験系を確立できた。今後は、これらの細胞を分化制御し、組織、器官、臓器、個体の再生に挑む。またこれらの基礎的知見や新規実験系を統合的に活用し、経済性の高い家禽の効率的生産や希少鳥類の再生を実現し得るよう研究を一層推進する。
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Research Products
(2 results)