2011 Fiscal Year Annual Research Report
人獣共通感染症関連する高分子タンパク質重合体の電子スピン二重共鳴法による構造解析
Project/Area Number |
21380185
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
稲波 修 北海道大学, 大学院・獣医学研究科, 教授 (10193559)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
稲葉 睦 北海道大学, 大学院・獣医学研究科, 教授 (00183179)
堀内 基広 北海道大学, 大学院・獣医学研究科, 教授 (30219216)
桑原 幹典 北海道大学, 名誉教授 (10002081)
山盛 徹 北海道大学, 大学院・獣医学研究科, 准教授 (00512675)
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Keywords | プリオン / 構造生物学 / ESR分光法 / ニトロオキシドプローブ / 距離情報 / 部位特異的スピンラベル法 / 人獣共通感染症 / インフルエンサ |
Research Abstract |
初年度は確立した部位特異的スピンラベル法による2点間距離計測技術をプリオン凝集体の構造解析を明らかにする目的で研究を推進した。実験は遺伝的プリオン病の変異体D178Nのαヘリックス2上のT188にスピンプローブ(R1)を導入したD178N/T188R1で行い、連続波ESRにより凝集体では1.8nmであることを初年度明らかにした。pH4.0で1M塩酸グアニジン処理すると凝集体構造を形成することはAFMによるフィラメント構造の観察により確かめられた。次年度は引き続き解析を進め、オクタリピートの最後部分でランダムコイル構造のD178N/S97R1、αヘリックス1のD178N/D144R1、αヘリックス2のD178N/K204R1とD178N/Y225R1について同様に検討し、どの場所でも凝集体のスピン間の距離は2.0nm以上の値が持続波ESR法で検出された。パルスESR法でも計測範囲の短距離限界を示し、周期的で規則正しい構造ではなく、凝集体中の同じアミノ酸残基の分子間の距離は2.0nm程度の間隔を持つ凝集体を形成している可能性を示していると類推された。本年度はさらにN末端のD178N/S36R1とD178N/S97R1の2点の点数を増やし正確な測定を行った。その結果、この2点からは持続波ESRでは測定が困難であった。QバンドパルスESR装置を用い、より長距離の2点間距離計測を行ったところ、持続波ESRで計測困難であった凝集体D178N/K204R1で2.7nm、D178N/Y225R1で3.0nmを示した。また、D178N/S36R1とD178N/S97R1ではQバンドパルスESRでも緩和時間が早いため計測できなかった。以上のことから凝集に関与している構造体はC末端領域の構造が凝集体形成に重要であり、N末端領域は一定の構造を取っておらず、凝集体の形成にも関与していないことが示された。
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Research Products
(32 results)