2009 Fiscal Year Annual Research Report
鳥インフルエンザ制御を目指した新規ワクチン戦略基盤
Project/Area Number |
21380187
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
堀本 泰介 The University of Tokyo, 医科学研究所, 准教授 (00222282)
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Keywords | 鳥インフルエンザ / ワクチン |
Research Abstract |
H5N1亜型を代表とする鳥インフルエンザウイルスに起因する新たなインフルエンザ世界的大流行(パンデミック)の発生が危惧される。今後予想される抗ウイルス薬耐性ウイルスの出現と拡がりは、予防ワクチンの重要性を強調するものの、不活化ワクチンの有効性に対する不安や、生ワクチンの安全性、使用時期の制限から、鳥インフルエンザの制御を目指したより効果的で安全なワクチン戦略が早急に求められている。本研究では、新しい戦略として非増殖型半生ワクチンの構築を目的とする。このワクチンウイルスは細胞に感染し、防御免疫抗原を感染細胞上に発現するが、感染性ウイルス粒子は産生されない。したがって、安全性は極めて高く、一方では、タンパク質性アジュバント分子を同時に搭載・発現させることも可能であり、不活化ワクチンや生ワクチンを凌ぐ防御効果が期待できる。得られる成果は、インフルエンザワクチン戦略のブレークスルーに発展する可能性がある。 本年度は、非増殖性半生ワクチンウイルスの効率のよい作製方法を検討した。まず、M2欠損ウイルスについて検討したところ、その増殖性はかなり減少するものの、半生ウイルスとしては不完全である可能性が示された。そこで、次に、NS2欠損ウイルスについて検討を行った。そのため、変異ウイルスを増幅するために必要なNS2恒常発現細胞の作製を試みたものの、NS2タンパク質自体がもつ細胞毒性が強いため、通常のプラスミド法では樹立は困難であると判断した。そこで、発現性の弱いレトロウイルスベクターを用いてNS2発現細胞の作製を検討し、細胞の樹立に成功した。今後は、この細胞を用いて半生ウイルスが作製できるかを検討する予定である。
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Research Products
(4 results)