Research Abstract |
ロドコッカス・エクイ強毒株病原性プラスミドは、制限酵素EcoR I及びHind IIIの切断像の違いから16種類に型別され、(1)85kb I,II,III,IV型(2)90kbII,V型(3)87kb I,III型(4)90kb I,III,IV型(5)87kb II a,IIb,IIc,IId型(6)52kb型に分類される。この中でグループ(4)と(5)に属する病原性プラスミドは日本に分布している。本研究では北海道日高地方の仔馬分離強毒株JRA09-12株の病原性プラスミド型が、既知の16種のプラスミド型と異なっていたため詳細に解析した。このプラスミドのEcoR I切断像は87kb IIa型と90kbIV型の2つに共通点があった。詳細に分析すると点変異や欠損を伴うEcoR Iサイトの消失、新しいEcoR Iサイトの形成など87kb II a型との類似点が多く認められた。一方、断片(7)領域ではPAI境界部分において非常に大きな挿入があり、他の90kb型同様にEcoR Iサイトを含む約14,000bpの挿入があると考えられた。以上の成績から新型病原性プラスミドを90kbVI型と命名し、プラスミドサイズが90kbであるにも拘らずその変異部位は87kb II a型に非常に類似していることから、病原性プラスミドの多型性獲得過程での共通祖先プラスミドの存在の可能性が推測された。次に、17種類の強毒株病原性プラスミドの簡易型別法についてPCR法を用いて検討した。これまでの17種類の研究成果から変異部位はほぼ同定されており遺伝子の欠損・挿入が見られる領域を標的としてPCRを実施し、型別のフローチャート図を作成した。PAI境界の遺伝子群におけるPCRでは増幅産物のサイズから(1)85kb型,52kb型,90kbII型(2)87kbI,IIa,IIb,IId,III型,90kbIV型(3)90kbI,III,IV型,87kbIIc型に分けられ、90kbV型では増幅されなかった。0RF49~0RF50の欠損から85kbII型、断片(9)の挿入から90kbII型が判別できた。87kbIIa~d型間では変異や欠損の違いから個々を区別できた。しかし85kb I,III,IV型、87kbIとIII型はEcoR Iサイトの点変異での相違であり、PCRでのプラスミド型別は出来なかった。今回、新たに病原性プラスミド型が加わり、我が国では87kbIIa~d型,90kbI~VI型と10種類の存在が明らかとなった。
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