2010 Fiscal Year Annual Research Report
セルロースの酵素分解を促進する細菌由来黄色色素の構造と機能および合成遺伝子の探求
Project/Area Number |
21380197
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
粟冠 和郎 三重大学, 大学院・生物資源学研究科, 教授 (20154031)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
粟冠 真紀子 三重大学, 大学院・生物資源学研究科, 学術研究員 (00422882)
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Keywords | Clostridium thermocellum / 黄色色素 / セルラーゼ / セルロソーム / セルロース分解 |
Research Abstract |
Clostridium thermocellumをはじめとするセルロース分解性細菌は黄色色素系を生産することが知られており、セルロース分解過程における機能を明らかにすることを目的としている。分取用HPLCを用いて黄色色素の単離・精製を試みた。C.thermocellumを微結晶性セルロース(アビセル)を炭素源として培養し、セルロース残渣および菌体より100%アセトンを用いて黄色色素を抽出した。てれをHPLCにより黄色色素画分を分画した。黄色色素が酸素および光に感受性があり、精製過程で退色することが見いだされ、既知のカロテノイド系色素とは異なることが予想されたため、現在精製方法を改善しているところである。天然のセルロソームは微生物の生育過程で黄色色素と接触しており、黄色色素の機能を正しく評価するのには適当でない可能性があり、大腸菌等の異宿主で発現することが望ましい。C.thermocellumの2種類のコヘシン、Clostridium josui由来のコヘシンおよび糖質結合モジュールを持つキメラ骨格タンパク質を大腸菌を宿主として発現させた。一方、それぞれのコヘシンに対応するドックリンを持つキメラセルラーゼを大腸菌で発現・精製した。キメラ骨格タンパク質とキメラセルラーゼからなる人工セルロソームを作製したところ、セルラーゼを混合した場合に比べ数倍以上の活性の増強が見られ、糖質結合モジュールの効果とセルラーゼの近接効果によるものと考えられ、黄色色素の機能解析に適切な人工セルロソームを構築できたと判断した。C.thermocellum ATCC27405株を宿主とし、プラスミドpNW33Nを用いてエレクトロボレーションによる遺伝子導入を行い、条件確立のための基礎的情報を得た。さらに、黄色色素に関する遺伝子情報を取得するため、黄色色素形成能が低下したC.thermocellum F-1株のゲノム解析を、次世代型シーケンサを用いて行った。以上の結果は、ほぼ実験計画通りであり、次年度の研究に向けてのデータを取得できた。
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