2011 Fiscal Year Annual Research Report
限界環境に栽培可能な無施肥・共生利用型マメ科新バイオマス作物の研究開発
Project/Area Number |
21380202
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Research Institution | National Institute of Agrobiological Sciences |
Principal Investigator |
友岡 憲彦 独立行政法人農業生物資源研究所, 多様性活用研究ユニット, ユニット長 (40373253)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
横山 正 東京農工大学, 大学院・農学研究院, 教授 (70313286)
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Keywords | 育種 / 耐塩性 / マメ科植物 / 栽培化 / 耐酸性 / 根粒菌 / 共生窒素固定 / 親和性 |
Research Abstract |
【栽培化QTL】栽培ササゲと野生ササゲとの雑種集団を作成し、226個のSSRマーカー、マーカー間平均距離3。96cM、総長852.4cM、II連鎖群から構成される分子遺伝地図を作成した。さらに、2雑種集団を用いて、24形質に関する栽培化QTL、合計156個を検出した。これらの中で、連鎖群3,7,11に、作用力が大きく複数の形質の栽培化に寄与したと考えられる興味深いQTLを見出した。【耐酸性】V.vexillataの遺伝資源118系統を用い、低pHに対する初期生育を調査した結果、pH3での生育がpH6での生育を凌ぐ(乾物生産120%以上)24系統を見出した。【耐塩性QTL】V.luteolaとV.vexillataの雑種集団を作成し、耐塩性QTL解析材料を整備した。【V.marina根粒菌】石垣島、西表島の砂浜で採集したV.marina根粒菌のうちSinorhizobium frediiに近縁な菌群3株は5%NaCl存在下の培養液中で細胞数を増加させることができた。このうち1株は2日間の増殖停止期間の後に急速に細胞数を増加させ、残り2株は増殖停止期間がなく細胞数を漸増させたことから、これらの菌は異なる耐塩性メカニズムを有すると考えられた。一方、対照として用いたSinorhizobium fredii標準株USDA205(ダイズの品種Pekingより中国で単離)は、1%NaCl存在下でも細胞数は増加せず死滅した。【新規根粒菌】石垣島のV.luteola、対馬のV.vexillataから単離した根粒菌は、16s-rRNA遺伝子の塩基配列からBradyrhizobium属根粒菌であると考えられたが、既存の種との類似度の低さから新種である可能性が示唆された。 【まとめ】研究の主対象としたV.marina,V.luteola,V.vexillataの耐塩性程度と種内変異解析から、V.marina,V.luteola,V.vexillataの順に塩環境に強く、どの種もアズキやササゲ等の近縁栽培種と比較すると極めて高い耐塩性を有することが明らかになった。また、これら野生種に着生している根粒菌は新種の可能性が高く、解析が進んだV.marina菌は極めて強い耐塩性を有することが明らかになった。
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