2010 Fiscal Year Annual Research Report
ウイルスベクターを利用したエピジェネティック制御による革新的植物形質転換法の創造
Project/Area Number |
21380203
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
増田 税 北海道大学, 大学院・農学研究院, 教授 (60281854)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金澤 章 北海道大学, 大学院・農学研究院, 准教授 (30281794)
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Keywords | キュウリモザイクウイルス / エピジェネティクス / メチル化 / ChIP |
Research Abstract |
キュウリモザイクウイルス(CMV)を改変したA1ベクターにペチュニアのchlcone synthase(CHS)遺伝子のpromoter領域を挿入したA1-CHSproを用いてCHS遺伝子を標的とした転写型ジーンサイレンシング(TGS)の誘導を試みた。A1-CHSpro接種当代では、花弁に細かな白い斑点が多数出現した。A1-CHSpro接種当代の花弁でのCHS遺伝子のmRNA蓄積量はA1接種個体に比べ、大きく減少していた。この時、A1-CHSpro接種当代ではTGSの引き金となるsiRNAも検出された。またバイサルファイトシーケンシング法とChIP法によって、A1-CHSpro接種当代の花弁のCHS promoter領域に、それぞれDNA methylationとhistone modificationの明瞭な変化を確認した。さらに、ウイルス(A1-CHSpro)が存在しない、A1-CHSpro接種の自殖後代の植物に生じた花弁でも白いストライプが観察され、CHS遺伝子のmRNAの低下、CHS promoter領域でのDNA methylationとhistone modificationの変化の維持が確認された。また、この花についた葯の矮小化と花粉稔性の著しい低下が観察された。CHSの低下が花粉稔性の低下を誘発することは以前から報告されていることから、矛盾のない結果である。これらの結果から、A1ベクターを用いることで、後代へと遺伝するTGSの誘導とこれに伴う形質変化の維持が可能であることが示された。このウイルスベクターによる新技術は、遺伝子組換えによらない、植物の形質転換法の開発を可能にする。
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