2009 Fiscal Year Annual Research Report
ゲノム安定性を制御するエピジェネティクス分子機構の同定と解析
Project/Area Number |
21380204
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
原田 昌彦 Tohoku University, 大学院・農学研究科, 准教授 (70218642)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
太田 邦史 東京大学, 総合文化研究科, 教授 (90211789)
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Keywords | ゲノム安定性 / クロマチン / DNA複製 / 細胞核 / アクチン関連タンパク質 |
Research Abstract |
クロマチンは、真核生物遺伝子のエピジェネティック制御に中心的な役割を果たしている。一方で、クロマチンは複製フォーク進行の妨げともなる。複製フォークの停止はDNA二重鎖切断やトリプレットリピートDNA配列の伸長を引起し、これらはそれぞれ発癌やトリプレットリピート病の大きな要因となる。本研究では、ゲノム安定性維持におけるINO80複合体の機能を解析し、染色体脆弱部位やトリプレットリピート病原因配列の安定性維持におけるエピジェネティクス分子機構を解明することを目的としている。当該年度は、1)INO80複合体と協調して複製フォーク進行に関与する複合体の同定、2)ゲノム安定性維持におけるINO80およびNuA4複合体の機能解析、3)クロマチン構造変換複合体による人工的なゲノム安定性向上について研究を行なった。特に、ヒト染色体脆弱部位を挿入した酵母人工染色体(YAC)の安定性について詳細な解析を行なった。デグロンタグシステムを使用し、INO80複合体に特異的な構成因子であるIno80あるいはArp8を誘導的に欠損させる酵母株を作出た。この株を用いて解析を行なったところ、INO80複合体欠損株において、ヒト染色体脆弱部位の安定性が低下していることが示された。この結果は、INO80クロマチンリモデリング複合体が、ゲノム安定性維持に普遍的な機能を有する可能性を示唆するものである。さらに、INO80複合体機能を欠損したヒト細胞についても、同様な解析を行ない、ゲノム安定性への寄与を示唆する結果を得た。
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