2010 Fiscal Year Annual Research Report
ゲノム安定性を制御するエピジェネティクス分子機構の同定と解析
| Project/Area Number |
21380204
|
|---|
| Research Institution | Tohoku University |
|---|
Principal Investigator |
原田 昌彦 東北大学, 大学院・農学研究科, 准教授 (70218642)
|
|---|
| Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
太田 邦史 東京大学, 総合文化研究科, 教授 (90211789)
|
|---|
| Keywords | ゲノム安全性 / クロマチン / DNA複製 / 染色体 |
|---|
| Research Abstract |
クロマチン構造は、真核生物遺伝子のエピジェネティック制御において、重要な役割を果たしている。しかし、このクロマチン構造は、複製フォークの進行を妨げるなどして、ゲノム安定性の維持の障害ともなる。本研究では、ゲノム安定性維持におけるINO80クロマチンリモデリング複合体や協調して機能する複合体の重要性やその機能について解析を行った。出芽酵母のデグロンシステムを用いて、Ino80,Arp8を誘導的に分解する系を用いて、これらのタンパク質がゲノム安定性維持にどのように関与するかを解析した。ヒト染色体の脆弱領域の配列を挿入した酵母人工染色体(yeast artificial chromosome; YAC)の安定性を指標とした解析により、これらのタンパク質がゲノム安定性に寄与することが明らかとなった。これらのタンパク質のヒト染色体の脆弱部位領域への結合を、クロマチン免疫沈降法(chromatin immunoprecipitation; ChIP)を用いて解析したところ、これらのタンパク質が細胞内でこれらの配列が形成するクロマチンに結合していることが明らかとなった。またヒト細胞を用いてこれらのタンパク質の欠損細胞を作成し、分裂期染色体の形態を観察したところ、染色体切断の有意な増加が検出された。これらの結果は、INO80クロマチンリモデリング複合体や関連するタンパク質のゲノム安定性維持への関与が、進化的にも保存されていることを示唆している。
|
