2011 Fiscal Year Annual Research Report
核、葉緑体、ミトコンドリアへ移行するイネCPD光回復酵素の輸送機構とUVB抵抗性
Project/Area Number |
21380205
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
日出間 純 東北大学, 大学院・生命科学研究科, 准教授 (20250855)
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Keywords | 光回復酵素 / UVB抵抗性 / ミトコンドリア / 葉緑体 / シグナルペプチド / DNA修復 / ピリミジン二量体 / 植物 |
Research Abstract |
最終年度にあたる本年度は、以下の2課題について解析を行い、植物の各オルガネラでのDNA修復機能の獲得とUVB環境適応戦略との関係について考察することを目的に研究を実施した。 【課題1】CPD光回復酵素の葉緑体への移行に関わるシグナル配列の同定 イネ幼植物第1葉を材料に、CPD光回復酵素遺伝子の全長、または部分配列にGFPを連結したコンストラクトをパーティグルガン法によるディレーション解析に葉緑体への移行シグナル配列の同定を試みた。その結果、CPD光回復酵素の全長にGFPを連結したコンストラクトでは葉緑体への移行が確認できるものの、部分配列では葉緑体への移行が確認できず、移行シグナル配列の同定には至らなかった。しかしCPD光回復酵素-GFPをシロイヌナズナに導入した組換え体を作製し、葉緑体への移行について観察したところ、葉緑体に青色光またはUVA光を照射すると、葉緑体にCPD光回復酵素が蓄積してくる、すなわち葉緑体への移行には光が必要であるという新たな事実を見出した。 【課題2】CPD光回復酵素の細胞内局在とUVB抵抗性 H22年度までの解析により見出したミトコンドリア移行に関わるシグナル配列に関して、イネ以外の生物が有するCPD光回復酵素と細胞内局在に関して解析した。その結果、シロイヌナズナ、ホウレンソウ等においても本シグナル配列を有し、ミトコンドリアでCPD光回復酵素が機能していることが分かった。さらに本配列は、ショウジョウバエも有しているものの、同じClass II型に属する酵母においては、本配列は有せず、別な配列を利用してミトコンドリアへ移行していることが明らかとなった。 以上の結果から、進化の過程で太陽光に常に曝される環境で生きるようになった高等生物は、ミトコンドリア障害を防ぐために新たなミトコンドリア移行のメカニズムを獲得したのではないかと推察された。
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Research Products
(15 results)