2010 Fiscal Year Annual Research Report
光合成生物におけるアスコルビン酸生合成経路の多様性と調節機構の解明
Project/Area Number |
21380207
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
石川 孝博 島根大学, 生物資源科学部, 教授 (60285385)
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Keywords | バイオテクノロジー / 遺伝子 / アスコルビン酸 / 代謝調節機構 / 光合成生物 |
Research Abstract |
1)光合成生物におけるアスコルビン酸(AsA)生合成経路の多様性の解明に関して、本年度はユーグレナからガラクトノラクトン脱水素酵素、ヒメツリガネゴケからアルドノラクトナーゼ、ガラクトース脱水素酵素(GalDH)およびガラクツロン酸脱水素酵素の各遺伝子について解析を行った。ユーグレナガラクトノラクトン脱水素酵素について二本鎖RNAによるサイレンシングにより、野生型細胞の約30%程度までAsAレベルが低下することから、解析したガラクトノラクトン脱水素酵素が主要な作用をしていることを証明した。また、ヒメツリガネゴケに2つ存在するGalDH相同遺伝子について、GalDH-1は高等植物の同酵素とほぼ類似した機能を有すること、GalDH-2はがラクトースではなくガラクツロン酸に対して反応性を示すことから、新奇のガラクツロン酸脱水素酵素をコードしている可能性を指摘した。また、各遺伝子の破壊株の作製を進めた。2)AsA生合成光調節の分子機構について、本年度はVTC2/5プロモーター::LUCコンストラクトをシロイヌナズナに導入し、VTC2/5遺伝子は光強度に応じ、葉中AsAレベルと強く相関して発現上昇すること、またAsAレベルが増加する発芽段階においてVTC2/5遺伝子の相補的に機能している事実を明らかにした。さらにVTC2/5とGFPとの融合タンパク質を用いた解析により、VTC2/5タンパク質は細胞質と核に局在すること、光条件に応じて核から細胞質へ移行することを証明し、AsA生合成の光調節との関連が強く示唆された。3)新奇AsA生合成調節変異体の単離と解析に関して、本年度は、昨年度から継続してAsA応答性を示すアスパラギン酸プロテアーゼ遺伝子(ASP)およびZnフィンガータンパク質遺伝子(ZRFの発現を指標に変異体の作成を継続するとともに、新たにシロイヌナズナAsA欠乏vtc2変異体に対する変異原(EMS)処理により、外因性のAsAに対して取込み活性を示さない変異体の単離を進め、その候補変異体を24ライン得た。
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Research Products
(4 results)