2010 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝子組換え植物を用いた物質生産の基礎となる蛋白質の安定化と分解の制御機構の解析
Project/Area Number |
21380208
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
松岡 健 九州大学, 農学研究院, 教授 (40222294)
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Keywords | 凝集 / 蛋白質分解 / 蛍光蛋白質 / 植物 / 液胞 / 輸送 |
Research Abstract |
植物を宿主とする有用物質の組換え生産は、今後普及する技術として注目されている。そこで各種の蛋白質の植物中の生産が試みられているが、蛋白質によってその安定性は異なっている。しかし、この安定性の違いに関しての系統的な解析は為されていない。そこで本研究では、植物細胞に発現させた外来蛋白質の細胞質への凝集体としての蓄積と分解の機構と、分泌系に導入した外来蛋白質の液胞への輸送による分解機構について、蛍光蛋白質をレポーターとして用いた生細胞の可視化技術を用いることにより、植物細胞での蛋白質の蓄積と分解の機構について新規な知見を得ることを目的としている。そこで本年度も、次の2項目について研究を進めた。 1)外来蛋白質の細胞質への凝集体としての蓄積機構の解析 昨年に引き続き凝集体の安定性について、色彩変化蛍光蛋白質用いることにより色彩変化を引き起こせる凝集体について解析した。まず、全ての凝集体の蛍光を緑から赤に変換した後、凝集体の蛍光変化を観察した。その結果、赤単独の凝集体と共に、赤と緑の蛍光を共に発する凝集体、緑単独の蛍光を示す凝集体が共に認められ,既存の凝集体が成長すると共に新規の凝集体が生成されることを見出した。次いで、蛍光変換後に飢餓状態に細胞を曝した際の蛍光の変化を検討した。その結果、既存の凝集体は速やかに分解されること、飢餓状態においても蛋白質の合成は継続し、一方合成されたこの蛋白質は迅速に分解されることを見出した。 2)外来蛋白質の分泌系から液胞への輸送と分解機構の解析この解析 では、分泌性シグナルペプチドとmRFPの融合体のうち、mRFP部分に存在すると推定される液胞への輸送情報を検索する目的で、mRFP部分にランダムに導入した変異プールから、分泌性となった変異mRFPの選抜を昨年に引き続き進めた。しかしながら、今のところ変異体は得られていない。
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