2009 Fiscal Year Annual Research Report
有機オキソアンモニウム塩の精密機能修飾に基づく高選択的アルコール不斉酸化触媒の開発
Project/Area Number |
21390001
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
岩渕 好治 Tohoku University, 大学院・薬学研究科, 教授 (20211766)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福田 隼 東北大学, 大学院・薬学研究科, 助手 (30434450)
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Keywords | オキソアンモニウム塩 / アザアダマンタン / 不斉酸化 / アルコール酸化 / 不斉触媒 / 分子認識 / ニトロキシルラジカル / 有機触媒 |
Research Abstract |
本研究は、有機オキソアンモニウム塩に潜在する機能性開発を基軸として、光学活性有機分子の迅速かつ高効率な獲得に資する環境調和型・高エナンチオ選択的不斉アルコール酸化触媒の開発を目的とするものである。既に申請者らは、独自に開発した不斉アルドール反応の適用を鍵工程としてアザアダマンタン核への不斉要素の導入法の開発に成功し、光学活性AZADO誘導体を合成して不斉酸化による第2級アルコールの速度論的分割の可能性を追求した結果、96%ee以上の選択性で不斉酸化が進行する触媒反応系を特定している。3年計画の初年度にあたる本年度は、これまで蓄積してきた精密修飾アダマンタンおよびアザアダマンタン合成法を展開して、構造多様性に富む光学活性アザアダマンタン誘導体を合成し、そのエナンチオ選択性の検証と反応機構モデルの精密化を通じて、広範な基質受容性をカバーする種々の有機オキソアンモニウム塩型不斉アルコール酸化触媒システムの確立を目指した。天然物合成への応用を企図して複雑な置換様式をもつシクロヘキセノール誘導体を種々合成して、これらを基質として検討を重ね、不斉酸化におけるエナンチオ選択的酸化における反応機構モデルの精密化を図った。その途上、(1S,4S)-4-benzyl-1-butyl-AZADOが48%収率、>97%ee以上で(-)-methyl 1-hydroxy-6-oxo-2-cyclohexenecarboxy-1-ateを与えることを見出し、一連の結果を説明できる反応機構モデルを提案することができた。また、高光学純度の生成物を用いて抗炎症活性天然物(-)-idesolideの初の不斉全合成を達成し、本方法論の有用性を実証した。
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