2009 Fiscal Year Annual Research Report
多核金属クラスター触媒を基盤とする化学選択性の新規制御法の開発
Project/Area Number |
21390003
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
大嶋 孝志 Osaka University, 大学院・基礎工学研究科, 准教授 (10313123)
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Keywords | 環境調和 / 水酸基直接活性化 / 直接アミノ化反応 / マイクロ波照射 / 白金触媒反応 / 金触媒反応 / 触媒的不斉アルキニル化反応 / ロジウム触媒反応 |
Research Abstract |
有用な機能性分子を、大量にしかも地球環境に負荷をかけることなく実用的に供給することを目的に、環境調和性の高い触媒反応の開発に取り組んでいる。具体的には、エステル基や水酸基など、それぞれ求核性や脱離能が低いために活性化基への変換を要していた不活性な官能基を、多機能性を有する触媒によって選択的に活性化することに取り組んでいる。本年度は、亜鉛クラスター触媒によるエステル基の選択的活性化を鍵とする、触媒的アセチル化反応及びその逆反応である脱アセチル化反応の開発に成功した。続いて、白金触媒による水酸基の選択的活性化を鍵とする、アリルアルコールの直接アミノ化反応の開発に成功した。特に、反応条件の最適化とマイクロ波照射を用いることで、温和な条件で反応を進行させることに成功し、基質一般性を大幅に拡張することができた。π-アリル中間体を経由するこの白金触媒反応は、求核性の高い窒素求核剤に対しては極めて有効であるが、カーバメートなどの求核性の低い窒素求核剤に対しては有効でないことが分かった。そこで、触媒系の再検討を行ったところ、金触媒が求核性の低い窒素求核剤に対して優れた触媒活性を示すことを見出した。この金触媒反応はルイス酸として機能するため、求核性の高い(配位能の高い)窒素求核剤に不向きであることから、上記の白金触媒反応と金触媒反応は、それぞれ相補的な関係であり、基質に対して最適な触媒を選択することで、幅広い基質に対して効率的に反応を促進することが可能となった。さらに、これまで等モル量以上の金属試薬を必要としていたケトンのアルキニル化反応を、触媒量のロジウム触媒によって促進することにも成功し、触媒を電子的にチューニングすることで、様々なアルキンを用いた反応に対して高い不斉収率を与える触媒系を開発することに成功した。
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Research Products
(47 results)