2009 Fiscal Year Annual Research Report
新規小分子蛍光ラベル法による生細胞での受容体の可視化解析
Project/Area Number |
21390007
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
松崎 勝巳 Kyoto University, 薬学研究科, 教授 (00201773)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
矢野 義明 京都大学, 薬学研究科, 助教 (60402799)
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Keywords | 蛍光イメージング / GPCR / オリゴマー化 / コンフォメーション変化 / グルタミン酸受容体 / 蛍光励起エネルギー移動 |
Research Abstract |
近年開発した新規蛍光ラベル法を用いて、創薬研究に重要な膜受容体の会合やコンフォメーション変化を生きた細胞膜で検出することを目指して研究を開始した。本年度は主に受容体の会合の検出を行った。生細胞での膜受容体オリゴマー検出は受容体を蛍光タンパク質や発光タンパク質と融合して発現させ、異なる蛍光/発光団間の共鳴エネルギー移動(FRET/BRET)現象を利用して検出するのが一般的であるが、蛍光/発光タンパク質のサイズはGPCRと同程度かそれ以上と大きく、受容体機能やオリゴマー化に影響する恐れがある。さらに、詳細な解析にはドナー/アクセプター色素団の標識比を正確にコントロールする必要があるが、蛍光/発光タンパク質の発現量比のコントロールは容易ではない。これらの弱点を補える手法として、蛍光タンパク質より大幅に小さいタグ配列を受容体に融合して発現させ、タグに対して特異的に結合する蛍光プローブを翻訳後に加える事で蛍光標識を行う「タグープローブ法」が近年盛んに研究されている。 本研究では我々が開発した新規タグープローブ法である「コイルドコイルラベル法」を用いた。このラベル法を用いて、Chinese hamster ovary(CHO)細胞膜上で、ダイマー形成が予想される代謝型グルタミン酸受容体1bサブタイプ(mGluR1b)およびモノマーで存在すると予想されるGlycopholin AのG86I変異体(GpA*)の会合stoichiometryを解析した。E3-mGluR1bまたはE3-GpA*発現CHO細胞に、FRETドナー/アクセプターペアであるローダミングリーン(RG)/テトラメチルローダミン(TMR)標識K4プローブを様々な比率で混合投与し、スペクトル検出器を備えた共焦点顕微鏡を用いて蛍光強度を定量した。各ラベル比での見かけのFRET効率Eappをアクセプター増感蛍光を指標に決定し、会合数nの時の理論曲線との比較を行った所、mGuR1bはダイマー(n=2)の理論曲線と良く一致し、GpA*ではモノマー(n=1)に近い曲線だった。また、mGuR1bの発現量が変化しても観測されたEappは一定であった為、色素間のランダムな接近によるFRETの影響はなく、かつダイマー形成が強固なものであることが確認できた。この解析手法従来の蛍光/発光タンパク質を用いた場合には難しかった、膜タンパク質の生細胞膜での会合様式を調べる強力なツールになると考えられる。
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Research Products
(11 results)