2010 Fiscal Year Annual Research Report
静電的相互作用を基盤とした自己組織化ナノデバイスの開発と選択的薬物送達への応用
Project/Area Number |
21390010
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
佐々木 均 長崎大学, 長崎大学病院・薬剤部, 教授 (00170689)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤 秀人 長崎大学, 病院・薬剤部, 准教授 (90346809)
川上 茂 京都大学, 薬学研究科, 講師 (20322307)
黒崎 友亮 長崎大学, 病院・薬剤部, COE研究員
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Keywords | Drug delivery system / 生体適合型ベクター / 生体分解型ベクター / 自己組織化 / 遺伝子導入技術 / 静電的相互作用 / 葉酸 / 低分子リガンド |
Research Abstract |
我々は様々なカチオン性高分子やカチオン性リポソームを用いて作製したカチオン性の複合体をアニオン性の高分子を用いて静電的に自己組織化することで、これらカチオン性の遺伝子ベクターの毒性を大きく改善し、かつ高い遺伝子発現効果を示す画期的なアニオン性の遺伝子ベクターを開発してきた。 本年、我々は新たに、カチオン性の遺伝子ベクターに低分子リガンドを自己組織化する技術を開発した。そこで、薬物ベクターのリガンドとして汎用される葉酸を用いて自己組織化した遺伝子ベクターを開発し、その有用性について検討を行った。 葉酸を自己組織化した遺伝子ベクターはアニオン性を示し、同じくアニオン性に帯電した細胞と静電的に相互作用しないにもかかわらず、市販の遺伝子ベクターと比較して、有意に高い遺伝子発現効果を示した。さらに、市販の遺伝子ベクターが示すような細胞障害性や赤血球凝集などの副作用の原因とならず、高い安全性が示唆された。また、この葉酸修飾型遺伝子ベクターの細胞内取り込みメカニズムを検討した結果、葉酸受容体を介した特異的な取り込み機構が示された。さらに、実験動物に投与した結果、葉酸受容体が発現している肝臓、腎臓、脾臓、肺において市販の遺伝子ベクターと比較して有意に高い遺伝子発現効果が確認された。 以上のように、我々は本年度の研究によって、葉酸受容体を標的とした安全かつ効果的な遺伝子ベクターの構築に成功した。これらの結果は、遺伝子ベクターの臨床応用に有益な情報であると考えられ、臨床応用に向けてさらなる検討を行う予定である。
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Research Products
(10 results)