2011 Fiscal Year Annual Research Report
静電的相互作用を基盤とした自己組織化ナノデバイスの開発と選択的薬物送達への応用
Project/Area Number |
21390010
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
佐々木 均 長崎大学, 大学病院, 教授 (00170689)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤 秀人 富山大学, 大学院・医学薬学研究部(薬学), 教授 (90346809)
川上 茂 京都大学, 薬学研究科, 講師 (20322307)
北原 隆志 長崎大学, 長崎大学病院, 准教授 (30380934)
兒玉 幸修 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教 (50448510)
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Keywords | 遺伝子デリバリー / 癌 / 葉酸 / グリチルリチン |
Research Abstract |
癌に特異性のある自己組織化ナノデバイスの開発を目的とした.癌では葉酸(FA)などの増殖に関わる分子が重要である。そこで、FA被膜型ナノデバイスの開発を行った。モデルとしてホタルルシフェラーゼをコードしたpDNA(pCWV-Luc)とカチオン性高分子であるpolyethylenimine (PEI)を結合させたカチオン性複合体(pDNA/PEI:PEI複合体)を調製した。さらにFAを混合させて、新規遺伝子ベクター(pDNA/PEI/FA:FA複合体)の構築した。各成分の混合比を最適化することで、ナノサイズの安定なFA複合体を構築することに成功した。FA複合体は細胞障害性を示さず、PEI複合体に匹敵する高い遺伝子発現効果を示した。また、in vivoにおいても赤血球凝集を示さず、高い安全性が確認できた。さらに、FA複合体をマウスに尾静脈内投与した結果、PEI複合体と比較して肝臓、脾臓、肺で有意に高い遺伝子発現を示した。したがって、FAを被膜することで、安全で効果的な遺伝子ベクターに開発に成功した。 さらに肝臓に特異性のある自己組織化ナノデバイスの開発を行った。様々な被膜成分の探索を行った結果、グリチルリチン(GL)を見出した。最適化した混合比でpDNA、PEI、GLを静電的に自己組織化させることでナノサイズのpDNA/PEI/GL複合体(GL複合体)の構築に成功した。In vitroにおいて、GL複合体は細胞障害性を示さず、pDNA/PEI複合体に匹敵する高い遺伝子発現を示した。さらに、GL複合体は細胞障害性や赤血球凝集を示さなかった。GL複合体をマウスに静脈内投与した結果、PEI複合体と比較して肝臓で有意に高い遺伝子発現を示した。さらにインスリン発現pDNA(pCMV-Ins)を用いたGL複合体をマウスに尾静脈内投与した結果、血糖値の低下が認められた。 以上のように、我々は本年度の研究によって、癌および肝臓に特異性のある遺伝子ベクターの開発に成功した。これらの結果は、遺伝子ベクターの臨床応用に有益な情報であると考えられる。
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Research Products
(6 results)