2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21390015
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
青木 淳賢 Tohoku University, 大学院・薬学研究科, 教授 (20250219)
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Keywords | リゾリン脂質 / リゾホスファチジン酸 / リゾホスファチジルセリン / GPCR / 生理活性脂質 |
Research Abstract |
申請者はこれまで生理活性リゾリン脂質の生体内機能を理解する上でキー分子である受容体・産生酵素を多数同定し、その機能解析を通じ生理活性リゾリン脂質の重要性と創薬ターゲットとしての有用性を示してきた。本研究では特に、リゾホスファチジン酸(LPA)とリゾホスファチジルセリン(LPS)を中心に、受容体・産生酵素・輸送分子の同定、および遺伝子改変マウスを用いた解析を行い、これら生理活性リゾリン脂質の生体内機能の包括的理解を目指している。本年度の研究において、LPAが体毛形成に関与する分子メカニズムを明らかにした。これまでにヒトの先天性貧毛症の原因遺伝子として、LPA産生酵素と想定されるPA-PLA1a/LIPHおよびLPA受容体と想定されるP2Y5が同定されており、LPAが体毛形成に関与することが示唆されていた。申請者はPA-PLA1α KOマウスがTGFα変異マウスおよびEGF受容体変異マウスに類似していることから、LPAとTGFα-EGFRシグナルに着目した。実際、PA-PLA1α KOマウスの皮膚において、TGFα量と活性化EGFR量が共に減少していた。初代培養角化細胞をLPAで刺激すると、TGFαの放出とEGF受容体のリン酸化が引き起こされ、この現象はP2Y5 RNAiにより抑制された。また、P2Y5とアルカリホスファターゼ(AP)融合TGFα(AP-TGFα)発現させたHEK293細胞は、LPAに特異的に応答し、AP-TGFαを放出した。AP-TGFαの放出はPA-PLA1α発現細胞を混合することでも観察された。これらの結果から、PA-PLA1αによるP2Y5の活性化はLPA産生を介していること、P2Y5の下流でTGFαの放出とEGFRの活性化を介して体毛形成を制御していることが明らかとなった。
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Research Products
(25 results)