2011 Fiscal Year Annual Research Report
リゾ脂質受容体の新しい機能~プロトン感知性とその生体機能
Project/Area Number |
21390016
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
岡島 史和 群馬大学, 生体調節研究所, 教授 (30142748)
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Keywords | プロトン / 細胞外pH / マクロファージ / 糖質コルチコイド / TDAG8 / MCP-1 / OGR1 / 骨密度 |
Research Abstract |
細胞外のpH変化は種々の細胞機能を変化させることが知られているが、そのメカニズムの詳細は不明である。リゾ脂質性シグナル分子G蛋白質共役受容体(GPCR)に属するOGRI受容体ファミリーには細胞外プロトン(pH)感知機構など従来のGPCRにはない新しい機能が存在することが我々を含む国内外のグループで明らかにされてきた。そこで、本研究では細胞外pH変化によって機能変化が知られている炎症、血管、骨代謝を中心に、これらの機能制御におけるプロトン感知性受容体の役割とその作用機構に関して解析した。(1)低pHがマクロファージの炎症性、抗腫瘍性に作用するタイプM1から腫瘍には好ましい状態を提供するタイプM2フェノタイプ変化に関与している可能性を検証した結果、酸性pHではM1(iNOS発現)からM2(アルギナーゼ発現)への変化が推定された。現在その機構を解析している。(2)TDAG8は糖質コルチコイド処理によって発現が増加する受容体として同定された経緯がある。糖質コルチコイドも抗炎症性のホルモンとして幅広い作用を有している。そこで、糖質コルチコイドのマクロファージにおける作用にTDAG8の発現増加が関わっている可能性についてLPSのTNF-a産生応答を指標に解析した。その結果、糖質コルチコイドはマクロファージのTDAG8の発現を高め、細胞外pHによるサイトカイン産生抑制応答を増強していることが示唆された。(3)細胞増殖や炎症応答にかかわるMCP-1、PAI-I、MKP1などの発現に対する細胞外pH低下とLPAのクロストーク機構を解析した結果、MKP-1の発現がプロトン受容体とLPA受容体のクロストークによって制御されていることが示唆された。(4)骨代謝ではOGR1欠損によって骨密度の増加変化が観察された。しかし、雌雄で差が見られたので現在その違いを解析中である。
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